アパレルのいまを全解説!GU、しまむらとシーインを比較してはいけない理由
アパレル業界は大きな変化にさらされており、かつさまざまな注目点と課題を抱えている。今回は業界で起こっている諸問題に対しての私の回答を、一問一答形式でお届けしたい。これを読むことで、業界のいまとこれからがくっきりと見えてくる。
アパレル倒産件数
急増の理由とは
Q1 2024年、ここまでのアパレル業界の経営環境について
河合 業界に与える最も大きな影響は、①円安、②コロナなどの新型感染症の流行、③異常気象などの環境破壊です。私たちは、「なんとなくこれらを克服した気になっている」だけで、実は何もやっていない。「放置プレー」のままです。
その間、企業経営はじわりじわりと悪化し、特にアパレル産業の倒産件数は増えています。これは、新型ウイルス対策で政府が補助金をばらまいたときの資金回収が始まっているからです。実は、多くの企業が、コロナが原因で資金ショートに陥ったわけではなく、事業継続そのものに必要な運転資金に充てていたからです。これらの企業はコロナの有無にかかわらず、早晩倒産していた企業です。政府のバラマキは「企業の一時的なゾンビ化」を進めただけなのです。
その間、外資企業は日本の優良工場のM&Aを進めたり、日本の市場調査をしたりしていました。何もしていなかった日本企業の甘さは目を覆うばかりです。
Q2 とくに好調なアパレルは?
河合 ユニクロです。こういうと「河合はいつもユニクロと答えてお茶を濁している」とよくいわれますが、本当に分かっていないのは、批判する人たちの方です。ユニクロは、柳井正氏の著書「一勝九敗」にあるように、野菜のSPA、ロンドン進出の失敗など、過去たくさんの失敗をしてきましたが、必ずそこから学んで本業のアパレル・ビジネスに生かしています。
一方、私達はどうでしょうか。ユニクロが原宿に店を出したとき、「あんな安物屋はロードサイドに店をだすのが正解だ」とうそぶき、ユニクロが巨大企業になったら、「ユニクロは世界企業だから自分達とは違う」と逃げ口上だけは一流ですが、そこから何かを学ぼうという姿勢は見られません。
今、ユニクロの名前を出すことは、一昨年前にユニクロの名前を出すのと意味合いは全く違います。ユニクロの経営は盤石で、もはや、成功の「正の循環」にはいっています。いわゆる「隙」がないのです。
ユニットごとに社長をおいて「社長の分業化」を図り、北米、グレイターチャイナ、欧州、日本がそれぞれのエリアにそって、大型店舗で収益を出すことによって、ユニクロの勝ちパターンを強固なものにしました。
これをもって、ファーストリテイリングは今後売上3兆円、そして5兆円に手が届き、遠くない将来ZARAを抜いて世界一になるのは確実です。
なぜなら、ユニクロは世界の大手3社と比較して、成長がもっとも著しい東南アジアに販売拠点を山のようにもっているからです。その点では、ZARAもH&Mもかないません。私は、ニューヨーク・ロンドンの世界的アナリストとディスカッションをしましたが、彼らも全く同じ見方をもっていました。
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