チャネル生産性高めた欧米のECR活動に学べ!日本がいますべきこととは

青木 英彦 (東京理科大学大学院教授)
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欧米の製・販連携活動P&Gとウォルマートの改革

 前回までの連載で、①日本の第一世代チャネルが競争力を強化するには、製・配・販が連携して全体最適を実現する必要があること、②そのためには、取引ルールの整備が必須であること、などを概観してきた。

 では、全体最適を実現する流通構造とはどのようなものなのだろうか。

 連載第4回となる本稿では、欧米やアジアで発展したECR(Efficient Con-sumer Response:効率的消費者対応)活動を参考にしながら、効率的な流通チャネルの基本モデルを提示する。

物流倉庫に停まっているトラック
「物流の2024年問題」をはじめ食品小売業界において物流改革は喫緊の課題となっている。(industryview/istock)

 1970年代まで米国では、食品を中心としたスーパーマーケット(SM)業界と、消費財や住関連品を中心としたディスカウントストア(DS)やドラッグストア業界がともに、現在の日本と同様にサプライヤーと小売業者が分断され、相互不達に基づく非効率的な取引が常態化していた。

 80年代に入り、まず消費財流通の分野で、P&Gとウォルマートが実験を繰り返しながら、効率的な取引のかたちを構築していった。

 具体的には、小売の独占所有物であった単品売上情報を、リアルタイムでP&Gに提供するとともに、ウォルマートの物流センターへの補充業務をP&Gに全面移管したのである。またP&Gも、これまでの場当たり的な販促・取引条件を廃止し、より一貫性と透明性のある価格体系(メニュープライシング)を構築した。80年代半ばから後半にかけて、これらの試行錯誤を重ねながら、次第に流通構造の完成度を高めていったのである。この構造については、本稿後半で詳述する。

チャネル生産性を高めるECRがめざした革新

 一方、食品流通の分野では、90年代に入るまで、

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記事執筆者

青木 英彦 / 東京理科大学大学院 教授

東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT)教授。

1989年神戸大学経営学部を卒業し、野村総合研究所に勤務。野村證券インターナショナル(米国ニューヨーク市)、ゴールドマン・サックス証券、メリルリンチ日本証券、野村證券にて小売・EC担当証券アナリスト業務に従事。2020年9月より現職。1994年米国Duke大学Fuqua School of BusinessにてMBA取得。2018年神戸大学大学院経営学研究科後期課程修了、博士(経営学)。日本証券アナリスト協会検定会員、CFA協会認定証券アナリスト、日本小売業協会CIO研究会ステアリングコミッティ委員。同流通サプライチェーン政策研究会メンバー。21年12月より加藤産業株式会社社外取締役、23年6月より株式会社ワールド社外取締役

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