トヨタ、認知低く定額制の車種拡充 「キント」ブランドに統一
[東京 16日 ロイター] – トヨタ自動車 は16日、新車の定額利用サービス「KINTO(キント)」の新たな施策を発表した。認知度の向上が課題となっており、取り扱い車種数を増やして若者などの利用を促す。世界で展開するすべての移動サービスのブランドを「キント」に統一することも明らかにした。
キントは車の保有から利用への移行をにらみ、車両代や任意保険、自動車税、登録諸費用、車両メンテナンスなどの諸費用を毎月の定額料金に盛り込んだサービスで、頭金は不要。1車種を3年間乗る「キント・ワン」について、車保有のコスト負担から購入に踏み切れない若年層の開拓などを狙い、今年3月から試行し、7月から本格的に全国展開した。
同社によると、11月までの申込みは951件と9カ月間で1000件に届かず、認知度は18.2%にとどまった。若者に訴求するため、キント・ワンの対象に低料金の車種を加えるなどして取り扱い車種数を増やす。
運営会社キントの小寺信也社長は、顧客の意識がすぐに変わって新たなサービスに「殺到するという状況に全然なっていない」と話し、顧客の意識が保有から利用に移るには「想像以上に時間がかかるのでは」との見通しを示した。
一方、利用者の年齢構成は18歳から29歳までが全体の2割を占めており、トヨタの実際の販売に比べて「若い人(の構成比)が多い」といい、これまで取り込めていなかった顧客層に届いているとの認識も示した。
来年1月からは従来の15車種から31車種に増やし、高級車ブランド「レクサス」も新たに追加する。最低料金が従来より約7000円安い月3万2780円から利用できる小型車「パッソ」などを加えるほか、月額1万―2万円台で提供する中古車によるサービスも一部地域で試験的に開始する。
3年間で6車種のレクサス車に乗ることができる「KINTO SELECT(セレクト)」については、来年2月から「KINTO FLEX(フレックス)」に改名し、新たに3年間で3車種のプランも用意する。
トヨタはすでに東南アジアや欧州などの一部で類似サービスを始めているが、今後は海外で展開するモビリティサービスのブランド名を「キント」で統一して認知度を高める方針。また、豪州や米国などで始まっているカーシェアや、「ウーバー」などのライドシェアリングでトヨタ車を活用したサービスなどでも来年以降、キントで統一化を図りたい考えだ。