ライフ本一色店レポート 「ピロティタイプを制するものが都市部を制する」ワケ

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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大手各社がこぞってピロティタイプ店舗を出店!

 首都圏で店舗展開する小売業に目を向けてみると、最近は大手を中心にピロティタイプの店舗を次々と出店している。

 直近ではサミット(東京都/竹野浩樹社長)が「サミットストア本天沼店」(東京都杉並区、18年11月)、マルエツ(東京都/古瀬良太社長)が「マルエツ江戸川橋店」(東京都新宿区、19年6月開業)とそれぞれピロティタイプの店舗を出店している。ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)の都市型小型店1号店として注目を集めた「八百幸成城店」(東京都調布市、17年11月開業)もピロティタイプだ。

 一方で、スーパーバリュー(埼玉県/岸本圭司社長)が19年7月に出店した「スーパーバリュー世田谷松原店」(東京都世田谷区)のような、地上1・2階を駐車場にして地下1階に売場を配置するという珍しいケースもある。

 各社がこぞってピロティタイプの店舗を新設するねらいは何か。その最大の理由は駐車場の確保である。

 人口が集中する都市部では、食品スーパー店舗を出店可能な物件を確保するのが困難になっている。一般的な食品スーパーとして必要な売場面積を確保しつつ、集客の要となる駐車場を設けるには、平屋建ての店舗では厳しい。搬入されてくる商品を1階から2階の売場まで運ぶという、1階建て店舗にない“ひと手間”がかかることを考慮しても、ピロティタイプを採用して駐車スペースを確保したいというねらいが透ける。

 ライフ広報によれば、本一色店と同じくピロティタイプを採用した「ライフ菊川店」(東京都墨田区:売場面積約1400㎡:12年開業)は現在、年商30億円近くまで上がってきているという(当初の年商目標は21億円)。本一色店では2年目の年商目標を18億5000万円と設定しているが、将来的にはこの水準をめざすとしている。

 現在、首都圏で119店舗を展開しているライフだが、ピロティタイプの店舗数は10数店舗とまだ少ない。国内小売はオーバーストア状態であるうえ、ドラッグストアや外食産業といった他業界・他業態の出店意欲も依然として旺盛だ。ライフに限らず、狭い敷地でも駐車場を確保できるピロティタイプの店舗が、今後の小売業における出店戦略の主役となる可能性は高い。


店名 ライフ本一色店
開店 2019年7月24日
店長 小寺恵一
営業時間 9:30-22:00
建物構造 鉄骨造3階建て
売場面積 1235㎡
年商目標 18億5000万円(2年目)
取り扱いアイテム数 1万1560アイテム
駐車台数 38台
駐輪台数 99台
従業員数 74人(正社員14人、パートナー従業員60人)
レジ台数 8台(うちセミセルフ2台)
イートイン席数 28席

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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