デザイン経営を着々進めるカインズに出現した”意外な効果”!

千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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INTERVIEW 石橋雅史 カインズ商品本部 日用雑貨事業部長
「メーカーとがっちり組みたい」

――今回で「デザイン展」は3回目になる。商品の販売動向はどうか?
石橋 実は、「デザイン展」のもう1つの狙いは、いままで当社としてそれほど強くなかった層のお客様の獲得にあります。まだまだ胸を張れるだけの結果は出ていませんが、若い方々が進んで手に取ってくれており、一定の成果は見え出しています。

――製造小売業を志向するカインズにとって、メーカーの営業部門以外の方と接点も持てる。
石橋 そうです。従来は、メーカーさんの営業マンと当社のバイヤーとの商談中心の付き合いばかりでした。しかし、その他の部署の方の視点やアイデアは、いろいろな意味で参考になります。しかも、それが商品に反映されています。

――製造小売業であるカインズとNBメーカーとはむしろライバル関係にあるのではないか?
石橋 日用雑貨品分野でもPB(プライベートブランド)を開発していますが、大手メーカーさんと真っ向勝負して勝てるわけがありません。たとえば、洗剤などのケミカルな領域は分子レベルまで研究して開発投資しています。だからそことPBNBと戦うといった発想はなく、メーカーさんとがっちり組んでやっていきたい。

 当社のPB商品とは異なり、自分たちだけではコントロールできないのが日用雑貨NBの特性です。デザインをブラッシュアップして、価値をあげて、価格はできれば下げたい。トータルとして商品価値は上がるでしょう。

――「デザイン展」が定着してくると、他の流通業もメーカーと組んで同じような商品を出してくる。
石橋 そこで、さらにカインズらしさとはなにかということを今考えています。たとえばパッケージに自分でペイントするというようにDIY的要素を織り込むというようなことです。そういうのがカインズらしさであり、他社ではできないことだと思います。

 土屋会長が良く口にするのは、「ずらした戦い方をしよう」ということ。同じNB商品を低価格一辺倒で販売していては、我々も利益を手元に残せません。そこでたとえば、大容量商品を当社向けにつくっていただきユニットプライスで優位性を出そうとか。何かおまけをつけたりして、価格を維持するとか、そういうずらした戦い方もしていきたい。(談:文責・千田直哉)

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記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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