ターゲット、ウォルマート、ホームデポが導入済みの、売場体験の維持管理ツールが日本上陸
ブランドの熱心な代弁者たる大ファンを育成する!
いま、体験スペースとしてのリアル店舗の機能に注目が集まっている。EC専業がブランディング体験のためにサンプル展示だけのリアル店舗を出店したりするのはそのいい例だ。また、かつて家電量販店などで問題視されたショールーミングも言ってみれば体験を求めてのものだ。ECの利便性があがるにつれ、商品探しや決済は24時間365日利用できるインターネット上で、触ったり、試したり、確認したりといった体験はリアル店舗で、というように同じ店のネットとリアルの両方を使って買い物を楽しむ層も増えている。リアルでの体験の良し悪しで、売上も左右するという時代になっている。
リアル店舗での商品体験には、イベントのような大掛かりなものもあれば、現物確認だけということもあるし、店舗スタッフへの問合せ、メーカーなどが提供するさまざまな販促ツールやデジタルサイネージを通じた商品情報の収集もそのひとつだ。最近の家電やオーディオ製品などは、デジタルサイネージによる説明を確認しながら実物を体験するということも多い。
ところが、お客がそういう状況を期待して来店しているのに、体験用のサンプルが壊れていたり、デジタルサイネージの電源が落ちてしまっていたりと、不具合の生じている売場はけっして少なくない。米国では、こうした売場を専任スタッフの巡回によりその場で解決するというサービスがすでに登場している。米国を代表するリテールサポート企業である、BDSマーケティング社が2013年より展開している「Break fix(ブレイクフィックス)」はその一例だ。ターゲット、ベストバイ、ウォルマート、ホームデポ、ステープルなどで、同社のサービスを導入済みだという。
日本国内2500社での実地棚卸しをはじめとして流通小売業の店舗でのノンコア業務の代行を専門に行うエイジス(千葉県/齋藤昭生社長)では、19年にBDSマーケティング社と業務提携を結び、日本国内でのブレイクフィックス事業をスタートさせた。
「今後は、店舗から商品在庫がなくなり、店舗はますます、試して、触って、という体験の場になる。店舗は商品を消費者と出会わせる場所であり、そこが期待したものでなければ、消費者はその店から離れてしまう。ブレイクフィックスはそうした体験の機会ロスを最低限に抑えるために有用なものだ」
エイジスの担当者はそう語る。
同社では「体験の売場が機能しているかどうかで、実際に売上げがどう変わるのか」「店頭のコンディションがどれくらい実売に結びつくか」といったことをデータ化することも検討している。
BDSマーケティング社では、最近の消費環境の変化を次のように分析している。
「顧客が感動体験を自ら発信して拡散するようになっている。消費者はさまざまなチャネルから情報を得て、ブランドのファンになり、そのなかから、Adovocates(=ブランド価値を代弁してくれるような熱狂的なファン)が周囲にその影響力を波及させる発信を行う」
そして、Adovocates育成のためには、店舗での『感動体験』がカギであり、それを最善の状態に維持していく役割を担うのが「ブレイクフィックス」であると締めくくっている。