壮大な物流DXを進めるアルペンが国内トップレベルの生産性を実現できた理由
スポーツ用品を幅広く取り扱うアルペン(愛知県/水野敦之社長)はほかの小売業に先駆けて、物流に積極投資をしてきたことで知られる。2015年以降、同社は自社倉庫の改革に乗り出し、経営戦略や現場の実情、顧客の需要とリンクした強固な物流体制を築いてきた。アルペンが進める壮大な物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)の全貌に迫る。
商品の小ロット多品種化から物流への積極投資を開始
1972年に愛知県名古屋市でスキー用品のプロショップとして設立し、スキーブームとともに成長したアルペン。その後、81年には、ゴルフ用品の販売を目的とした「ゴルフ5」を開設し、97年には、野球用品などの各種一般スポーツ用品を備えた大型店舗として「スポーツデポ」を展開した。2018年には、アウトドア用品を専門に取り扱う「アルペンアウトドアーズ」や「アルペンマウンテンズ」もスタートしている。15年からはECサイトを開設し、16年度から17年度にかけては、EC売上高が対前年度比50%増となるなど、急速な成長を遂げた。
こうした業態の拡大やECサイトの開設により、アルペンの取り扱い商品は小ロット多品種となっていく。そうしたなか浮かび上がってきたのが物流コストの増加、ドライバーおよび倉庫内作業員の不足や高齢化など、物流面の問題だ。そうした課題を解決すべく、同社では戦略的に物流をIT化していくことに乗り出していく。
ECの物流倉庫にロボット導入し運用を最適化
物流のIT化にあたり、最初にテコ入れしたのはECの物流倉庫だ。15年当時、同社ではEC事業を150%成長させる計画があったため、物流を最適化する必要があった。アルペンの執行役員で物流本部長兼サプライチェーン・ロジスティクス部長を務める濱中龍一氏は「お客さまの期待に応えるため、セール時などの繁忙期でも1~2日で出庫できるような仕組みづくり、つまりリードタイムの短縮とキャパシティの増加が急務だと考えた」と当時を振り返る。
当時、ECの物流倉庫は愛知県春日井市の「プロロジスパーク春日井」が稼働していた。しかし、ECの売上高は首都圏からの利用の占める割合が圧倒的に多かったため、18年に「プロロジスパーク千葉ニュータウン」(千葉県印西市)に移転。約2000坪から約3500坪に増床し、EC専用倉庫「東日本フルフィルメントセンター」として稼働を始めた。
これにあわせて、出荷する商品を棚ごと運ぶ
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