セブン&アイが「生成AIファースト」宣言!意欲的な活用戦略と最新事例を語る!

ダイヤモンド・チェーンストア編集長:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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生成AIの活用で、店舗支援と顧客体験向上をどう実現するか

 現場業務で忙しいマネジャーが、データを分析して最適な施策を実行することが求められるなか、データ分析や施策の検討に生成AIを活用、業務の効率化と施策の高度化を進めているという。

  ここでは「デイリーの課題解決」を例に、どんな取り組みをしているかを見ていきたい。

 まずは「デイリーの品揃え分類のなかで課題のある部分を教えてほしい」と生成AIに質問を投げかけ、課題を抽出することから始める。生成AIは該当データを検索し、分析結果や関連情報を踏まえて、回答を提示する。

 ここで、「豆腐売場が昨対比で●%減だった」ことがわかったとする。次は、その要因を深堀するために生成AIに繰り返し質問していくという流れだ。

マネジャー:「豆腐売場の不振原因を教えて」

生成AI:「類似する他店と比べて豆腐の客単価が低いことが理由と考えられる」

 このように深堀していき課題が特定できたら、最後に「対策を教えて」と問いかければよい。7iDの購買履歴分析などをもとに、何の商品を品揃えすればよいか、またその商品と併売率が高い商品は何かも示され、陳列場所をどう見直せば売上改善につながるかなどの具体的なアクションを提案してくれるという。これを突き詰めることでお客にとっては欲しい商品が買いやすいかたちで提案されている「気の利いた売場」になるというわけだ。

 「分析に慣れていない人でも、素早くデータを分析し、施策を検討できるようになった」と齋藤CIOは手ごたえを口にする。

 

 今後、セブン&アイは「生成AIファースト」の浸透をいっそう推進していく。

「生成AIの活用は現場起点で進めていくことが大事。ただし、若い世代だけでなく経営陣、ミドルクラスが生成AIに可能性を見出し、どんどん使っていこうというムードを醸成すべきだ」「各人が当たり前に活用していき、産業、業種の垣根をこえた連携により、生成AI活用による流通革新を主導していく」と齋藤CIOは力を込める。

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ダイヤモンド・チェーンストア編集長

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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