オオゼキ、ベルクス、東急ストア……有力5チェーンがしのぎ削る“三軒茶屋戦争”が勃発!?

解説・文:榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)

東京都内でも有数の人気エリアとして知られる三軒茶屋の競争環境が激変している。

2024年6月に「スーパーベルクス」、同12月に「オオゼキ」と有力食品スーパー(SM)2店舗が相次いで新規出店したほか、同じく12月に駅前の「東急ストア」が大改装を実施。「食」をめぐるマーケット争奪戦が一気に過熱した。

熾烈な競争を勝ち抜くのはどのチェーンか。半径300m圏内でしのぎを削る、有力5チェーンの売場を調査した。

調査日:2025年5月11日 ※本文中の価格はすべて本体価格

2024年にベルクス、オオゼキが進出

 東京都世田谷区三軒茶屋は「住みたい街ランキング」で吉祥寺や自由が丘と並び、常に上位にランクインする人気の街である。東急田園都市線で「渋谷」駅まで2駅・約5分でアクセスでき、バス路線も充実しており、交通利便性が高い。

 昔ながらの街並みを残しつつ、多数の飲食店やカフェ、ベーカリーが店を構え、「食の街」としても注目されている。

 「三軒茶屋」駅周辺は24時間営業のSMが複数あり、深夜営業の飲食店も立ち並び、生活利便性は高い。駅から少し離れると閑静な住宅街が広がっており、自転車で来街する利用者も多い。また、近隣には世田谷公園があるほか教育・医療施設も整っており、ファミリー層に人気が高いエリアだ。

 三軒茶屋が位置する世田谷区世田谷地域の総人口は2025年4月1日現在で25万5189人、15年と比較して1万3820人増加している。

 豊かなマーケットとあってSMの競争は激しい。三軒茶屋駅直結の高層ビル「キャロットタワー」地下にある「東急ストア三軒茶屋店」を中心に、100m離れた場所に「西友三軒茶屋店」「肉のハナマサ三軒茶屋店」がある。

 24年6月に、駅から徒歩5分の国道246号線沿いに「スーパーベルクス世田谷太子堂店」が出店し、同年12月にはキャロットタワーそばの新設高層マンション1階に「オオゼキ三軒茶屋店」がオープン(以下、店名は省略。スーパーベルクスはベルクスと表記)。

 また同月に東急ストアが大規模改装を実施し、売場を全面リニューアルしている。激しい競争の中、各店舗がどのように自店の強みを生かしているのか、1店舗ずつ見ていく。

スーパーベルクス世田谷太子堂店

バランス型の商品構成と圧倒的な価格競争力

 サンベルクス(東京都/鈴木秀夫社長)が運営する「ベルクス」。東京都足立区に本部を置き、東京・千葉・埼玉で店舗展開する同社にとって、この店舗は世田谷区を含む城南エリア1号店となる。来店客層を見ると、シニア夫婦、ファミリー層、若年層、高齢の単身層と幅広く、出店から1年が経過し、着実に支持を得ていることがわかる。

スーパーベルクス世田谷太子堂店外観
スーパーベルクス世田谷太子堂店
●開店日: 2024年6月14日
●所在地: 東京都世田谷区太子堂2-6-5
●営業時間: 10:00~21:45(日曜は9:00開店)
●駐車台数: 30台

 青果売場では全体的に2ケタ価格の商品を多用し、価格訴求の浸透を図っているのが見て取れる。目を引いたのはスポット品や目玉商品による、店内の回遊性を高める取り組みだ。

 たとえば、

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