好決算続出も企業間格差は拡大!上場小売2024年度決算、売上ランキングに変化の兆し!?
上場小売業の2024年度決算は、インフレ下で価格転嫁が順調に進んだことに加え、一部の業態ではインバウンド消費が復活し、各社の業績はおおむね好調に推移した。ただ、原材料価格や水道光熱費の高騰、賃上げに伴う人件費の上昇などコスト増の影響は深刻で、企業間格差はこれまで以上に拡大しつつある。『ダイヤモンド・チェーンストア』2025年7月1日号特集「決算2025ランキング」からデータの一部を抜粋し、営業収益上位企業の動向を見ていく。
※営業収益は売上高+営業収入。売上高は主に商品の売買に伴うもので、営業収入は卸売上や不動産収入の合計。売上高として全額計上する企業もあれば、営業収入を多く計上する企業もあるため、基準を同じにするために営業収益を使用している
営業収益ランキング、トップに立ったのはあの企業!
『ダイヤモンド・チェーンストア』誌では、毎年7月1日号の「決算ランキング」特集で、上場小売業(外食を除く)の営業収益ランキングを掲載している。
24年度のランキングで首位となったのは、前年度と同じくセブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)だった。24年度決算は、主力の海外CVS事業の不振が大きく影響し、大幅減益となったものの、営業収益は前年度実績を上回り、12兆円に到達する勢いだ。
図表●上場小売業営業収益ランキングトップ10
単位:百万円、%
※CVSの営業収益はチェーン全店売上高を使用
※ファミリーマート、ファーストリテイリング、J.フロント リテイリングはIFRS
PPIH=パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス
順位 | 社名 | 営業収益 | 増減 | 営業利益 | 増減 | 決算期 | 業態 |
1 | セブン&アイ・HD | 11,972,762 | 4.4 | 420,991 | ▲ 21.2 | 25/2 | – |
2 | イオン | 10,134,877 | 6.1 | 237,747 | ▲ 5.2 | 25/2 | – |
3 | ファミリーマート | 3,243,888 | ▲ 0.9 | 85,033 | 1.5 | 25/2 | CVS |
4 | ファーストリテイリング | 3,103,836 | 12.2 | 500,904 | 31.4 | 24/8 | AP |
5 | ローソン | 2,891,800 | 5.1 | 105,000 | 11.7 | 25/2 | CVS |
6 | PPIH | 2,095,077 | 8.2 | 140,193 | 33.2 | 24/6 | SP |
7 | ヤマダHD | 1,629,069 | 2.3 | 42,821 | 3.2 | 25/3 | CE |
8 | マツキヨココカラ&カンパニー | 1,061,626 | 3.8 | 82,082 | 8.4 | 25/3 | DgS |
9 | コスモス薬品 | 964,989 | 16.6 | 31,501 | 4.6 | 24/5 | DgS |
10 | ニトリHD | 928,950 | 3.7 | 120,372 | ▲ 5.8 | 25/3 | SP |
ただ、セブン&アイは25年9月に、イトーヨーカ堂(東京都)やヨークベニマル(福島県)などの「非コンビニ事業」を束ねる中間持ち株会社、ヨーク・ホールディングス(東京都:以下、ヨークHD)を米投資ファンドのベイン・キャピタルに売却することが決まっている。売却後、セブン&アイは約35%分の持ち株分を再出資する予定だが、25年度決算の営業収益は10兆7000億円前後になる見通しで、ランキングにも影響がありそうだ。
2位から8位までの順位は前年度から変わらず、イオン(千葉県)、ファミリーマート、ファーストリテイリング(山口県)、ローソン、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都)、ヤマダホールディングス(群馬県)、マツキヨココカラ&カンパニー(東京都)と各業態のトップ企業が並ぶ。
2位イオンは24年度決算で営業収益を10兆円の大台に乗せた。4位ファーストリテイリングは24年8月期決算(IFRS)で2ケタの増収を果たし、連結の売上収益は3兆円を突破。3位ファミリーマートの背中が目前に迫っている。
9位以下は順位に変動があり、決算期変更に伴い9.5カ月決算となったツルハホールディングス(北海道:以下、ツルハHD)が昨年9位から16位に後退。2ケタ増収を果たしたコスモス薬品が昨年11位から順位を上げて9位につけている。
ツルハHDを巡っては、かねて発表されていたDgS国内最大手ウエルシアホールディングス(東京都:以下、ウエルシアHD)との経営統合が実現に動き出している。25年5月に開催されたツルハHDの定時株主総会で、ウエルシアHDとの経営統合に関する株式交換議案が可決。今後は25年12月から26年1月にかけて、ツルハHDがウエルシアHDを株式交換で完全子会社化したうえで、大株主のイオン(千葉県)がツルハHDに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、ツルハHDを連結子会社化するとしている。統合が予定どおり実現すれば、ランキング順位が大きく変動するのは間違いない。
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