百貨店の婦人服売場で異変!?高島屋がジュンとのコラボショップを立ち上げた理由
「セール品を買わなくなった」ことへの危機感
徐々に百貨店からショッピングセンター(SC)に主戦場を移し、接点がなくなりかけていたジュンに対して、今回の協業の話を持ちかけたのは高島屋のほうだったという。その背景にあるのが、コロナ禍を契機とした消費行動の変化だ。
「以前なら懇意のブランドのアイテムをコーディネート一式購入する方が多かったが、コロナ禍での断捨離ブームを経て、今は目的を持って必要なアイテムを探し、買い足す傾向が高まっている」(嶋廻氏)
その買い方の変化が表れているのが、7月・1月のクリアランスセールでの売上だ。以前なら確実に確保できていた売上の山が、年々低くなっているという。
「セール品を買わなくなったという事実は、お客さまの買い方がシビアになってきていることの表れ。『ここで買うと心地がいい』もしくは『あそこになかったものがここにある』といったことが認知されなければ、百貨店でファッションアイテムを購入する意味が薄れてきていると感じていた」
長年、高島屋で婦人服のMDに携わる中で、そのような危機感を抱いてきた嶋廻氏。これまでも「マッシュスタイルラボ」と企画したブランドアイテムを展開するなど、従来の百貨店の枠組みにとらわれないブランドとの取り組みを模索し続けてきた。
その中で、「ロペ」などのレディースブランドを展開するジュンに注目した理由として、嶋廻氏は同社の「発信力」を挙げる。
「展示会などを見ていても、アパレルの枠にとらわれずさまざまなブースを出し集客している。彼らのように発信力や新しいトレンドへの感度を持った企業と一緒にコラボすることで新しい化学反応が起きないか、という期待があった」(同)
話を持ちかけると、ジュンの側にも「もう一度、百貨店を主戦場としてものづくりをしていきたい」との意向があったという。コロナ前から協業の話を進め、コロナ禍での中断を経て、客足が戻り始めた2022年頃から急ピッチで店舗のコンセプトづくりや取り扱うアイテムなど準備を進めていった。