ワークマン(東京都/小濱英之社長)は9月1日、カジュアルウェアを販売する新フォーマット「Workman Colors(ワークマンカラーズ)」 の1号店「ワークマンカラーズイグジットメルサ銀座店」を東京都中央区にオープンした。同店の特徴は、ワークマンの強みである商品の機能性ではなくデザイン性を強調した売場になっている点だ。製造方法にクイック・レスポンス(QR)生産を初採用した新商品をラインアップした点も要注目となっている。
4つの新コンセプトを採用
ワークマンカラーズイグジットメルサ銀座店は、東京メトロ「銀座」駅から約1分の場所、商業施設「EXITMELSA(イグジットメルサ)」の5階に入る。売場面積は91.9坪で、カジュアルウェアを中心に約400アイテムを揃える。商品の4割がレディース、4割がメンズ、2割がユニセックスになっており、スカートやトレーナーなど各商品をおよそ税込1280~1900円の価格帯で販売している点が特徴だ。
ワークマンは近年、新フォーマットの出店に力を入れており、18年9月に「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」、20年10月には女性をターゲットにした「#ワークマン女子」、22年4月には靴専門店の「WORKMAN Shoes(ワークマンシューズ)」をオープンしている。今回初出店となったワークマンカラーズは、「デザイン性重視、機能はステルスへ」をテーマに、カジュアルウェアのデザイン性をアピールした店舗となっている。
商品ラインアップは#ワークマン女子とほぼ同じだが、商品の陳列方法を大きく変えているのが特徴だ。たとえば、従来の#ワークマン女子は「保温性」「防水性」など機能別にカテゴリーをわけた陳列方法を採用しているが、ワークマンカラーズイグジットメルサ銀座店では「life is」「WORKMAN-Ship」「tough」「Share,Share,Share,」の4つのスタイルごとに商品を陳列している。店内ではそれぞれのスタイルを計17体のマネキンで表現している。
マネキンによる表現は、トップブランドに在籍経験のあるワークマンのコーディネーターが担当している。明るい色の商品を店舗の入口側に多く配置するなど、ターゲット層の20~30代を意識した演出をしているという。
では、ワークマンはなぜ、新しくワークマンカラーズフォーマットをつくったのだろうか。
ワークマンカラーズを出店した理由
ワークマンカラーズを出店した理由について、ワークマン専務取締役の土屋哲雄氏は以下のように話す。
「ワークマンは機能性の高いカジュアルウェアを販売するブランドとして定着したが、購買動機が機能性である場合、目的買いがほとんどとなるためお客さまの買い上げ点数は少なくなる。一方、トレンドを取れ入れるかたちでデザイン性を訴求すればお客さまは衝動的に商品を買うため、1人当たりの買上点数が飛躍的に上がる」(土屋氏)
そこで、ワークマンカラーズイグジットメルサ銀座店では、トレンドの素材やシルエット、カラーを採用したカジュアルウェアの新商品をまずは10アイテム導入している。
しかし、そうした商品を販売するには製造上の問題があった。ワークマンは従来、製造工場の閑散期を利用して商品を製造しているため、コストが割安である一方で一般的なアパレルブランドよりも製造期間が長く、発注から納品まで約1年かかるという。この体制ではトレンドを追って生産を依頼しても、売場に商品が出回る頃にはトレンドが廃れてしまう。
そこで採用したのが、クイック・レスポンス(QR)生産だ。これにより、発注してから4週間での短期納品が可能となった。QR生産は、中国・上海にある小さなメーカーが担う。従来の工場は発注数が1アイテム当たり1万ロットだが、QR生産の工場では1000ロットとなっている。
今後、QR生産で製造する商品数を徐々に増やしていき、ワークマンカラーズ だけではなく#ワークマン女子でも販売していく予定だ。土屋氏は、「将来的に、#ワークマン女子で販売するレディース商品の2割を、QR生産で製造するトレンド商品にしたい」と話す。
ワークマンは今後、ワークマンカラーズを計10店舗出店する計画だ。新宿や渋谷、梅田などの都心に構え、商品のデザイン性のアピールに注力する。同時に、#ワークマン女子の出店を強化していく。「#ワークマン女子の店舗数は、23月6月末時点で49店舗。10年後は400店舗まで拡大したい」と土屋氏は意気込みを語る。