「スーパー三和トレッサ横浜店」の売場から見えてきた、SC内繁盛店づくりの秘訣
各ゴンドラエンドでテーマ別販促を実施!
続いて、酒類売場を見ていこう。「ビール系飲料」は“量感”を重視した陳列としてなっており、「アサヒビール・スーパードライ350mℓ24本」(4392円)、「サントリー・金麦350mℓ24本」(2380円)などケース売りの販売に力を入れている。
ワインは、高級ブランドも一部扱うが、398~2500円の価格帯を充実させており、1000円前後の商品をとくに重視しているようだ。焼酎は定番の甲類のほかに、「森伊蔵」「佐藤」「百年の孤独」といったプレミアム焼酎の扱いもある。日本酒は神奈川県の地酒である「湘南」(熊沢酒造)、「相模灘」(久保田酒造)などを品揃えする。
広めのスペースで展開する飲料売場は、冷蔵ケース、500mℓ、大型ペットボトル、ケース販売、と商品の形状別にゾーンを形成している。「コカ・コーラ1.5ℓ」、伊藤園「お~いお茶2ℓ」(各148円)、サントリー「伊右衛門500mℓ」(69円)などナショナルブランドの定番を価格訴求しつつ、日替わりの目玉商品を本数限定で提供している。
加工食品売場では、各ゴンドラエンドでテーマ別の販促を実施しているのが目を引く。各地域の銘品を集めた「道の駅の人気商品を集めました」に始まり、「洋風メニュー」「おかずメニュー」「お好み焼き」「ホットケーキ」「新製品提案」といった具合でエンド毎にポップを添えてテーマに添った商品をアピールしている。
かつてはどのチェーンの売場でもこうした販促手法が見られたが、実施している企業は少なくなった。筆者の経験から述べると、こうしたエンドづくりには男性スタッフが不可欠である。実際にトレッサ横浜店では、売場で多くの男性スタッフを見かけた。この男性の機動力のある売場づくりがトレッサ横浜店の加工食品売場の魅力を下支えしていると思われる。
加工食品、菓子、日本酒、飲料に共通しているのは、各部門のゾーニングを明確にしている点だ。どの売場も生鮮・日配と巧みに連動させており、お客にとっては非常に買いやすい売場であろう。
実は少ない!? “大箱”を埋められる食品スーパー
かつてのショッピングセンターは、百貨店、あるいは総合スーパーを核に据えるのを基本としていたが、これらの業態が衰退傾向にあることもあって、最近は食品スーパーに大型専門店を絡めた構成が主流となっている。
ただ、大型ショッピングセンターという“箱”に耐えられる食品スーパーはそれほど多くない。自社でショッピングセンターを開発するイオン(千葉県/岡田元也社長)グループの企業は別として、首都圏では三和やロピア(神奈川県/高木勇輔代表)などに限定されてくる。
なぜ、この2社はショッピングセンター内という“大箱”で繁盛店をつくることができるのか。これら2チェーンに共通しているのは、「ディスカウント」の意識が根底にあることだ。ディスカウンターの売場には、独特の“粗さ”がある。多少の“粗さ”がなければ、800坪~1000坪のスペースを食品売場で埋めるのは難しい。トレッサ横浜店においても、この“粗さ”によって、約900坪のスペースで魅力ある売場がつくられている。
前編で解説したショッピングセンター自体の集客力も相まって、顧客を強烈に引きつけているトレッサ横浜店。同店は今や、三和の企業としての存在感を示す店舗に成長しており、その店づくりは注目に値すると言えるだろう。
店舗概要
所在地 横浜市港北区師岡町700
売場面積 3031㎡
開店日 2008年3月27日
駐車台数 1300台(ショッピングセンター共用)
営業時間 10:00~22:00
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