関係者も注目の新たなモデル店舗? 「イトーヨーカドー和光店」の食品売場を解説!

矢野清嗣
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イトーヨーカ堂改革の残るピースとなるのは……

 調査期間中の4月3日の朝に店舗を訪れたときのことだ。平日にもかかわらず、その日は売場が完璧に整理整頓され、生鮮売場には朝とは思えないほど商品が並び、まるでオープニングのような雰囲気が売場に漂っていた。

 何が起こったのかと店内を見ていると、売場に一角に、背広姿の外国人と作業着を来た店舗スタッフとみられる4O人前後の姿があった。見ていると、背広姿の人物に店舗スタッフが真剣な表情で何かを説明しており、売場の漂う物々しさもあってこのビジターは海外株主ではないかと筆者は推測した。

 イトーヨーカドー和光店の売場を見て、ビジターは何を感じ取ったのだろうか。いずれにせよ、この店舗は重要人物が視察に訪れるイトーヨーカ堂にとってのモデル店的な位置づけであることは想像に難くない。

 筆者はこれまで長年にわたりイトーヨーカ堂の店舗を拝見してきた。イトーヨーカ堂の店舗の特長は売場管理能力に優れている点だ。同社の店舗には全店統一の「型」があり、どの店舗もその「型」を維持する能力が高い。

 一方、スーパーマーケットチェーンの多くは売場の「型」は統一されつつも、それぞれの店舗が独自のスタイルをめざしていて店ごとの個性を感じる。と優良チェーンとされる「ヤオコー」「ベルク」などはその傾向がとくに強く、売場を常に変化させ、工夫が凝らされている。

 イトーヨーカドー和光店は、商品づくり、商品構成、オペレーションどれをとっても重要人物が視察に訪れるのも納得できる優れた店舗だが、それらはあくまで「型」の中で完結しており、「現場の意思」のようなものはあまり伝わってこなかった。イトーヨーカドー和光店の課題をあえて挙げるのであれば、それが現場力の向上だ。売場の真価を発揮させるのはやはり現場の個性であり、たとえ優れた売場でもそれなしではどこか物足りなさを感じてしまう。長年続いてきたイトーヨーカ堂改革だが、その最後のピースは現場力にあるのでないだろうか。

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