東武百貨店が自社社員だけでなく取引先従業員の情報格差をDXで改革したワケ
従業員向けのDXが顧客体験向上につながる
東武百貨店では現在、導入の第一段階としてアプリによる入館証のデジタル化と入退館チェックを進めており、以降、他の機能も段階的に展開していく予定です。最終的には同社で働く従業員の業務効率化と負担を軽減して、売場で長く活躍してもらうことをめざしています。
同社の目的は単に「従業員の働きやすい環境づくり」にとどまるものではありません。業務を効率化してより付加価値の高い業務に従事してもらうことで、顧客の購買体験やブランド体験を向上させることこそが目的なのです。従業員にとっても、顧客の満足に直結する業務により時間を割けるようになったことで、モチベーションが高まります。
百貨店に限らず、店舗サービス業において、これから採用難が一層進行することは明らかであり、とくに優秀な人材の確保はいっそう至難となります。これは直営の自社社員はもちろん、取引先従業員においても同じです。
デジタルツールを有効活用することで、現場を支える従業員を非生産的な業務から解放し、接客や商品知識の向上に専念してもらうことこそがDXの本来の目的です。より付加価値の高い業務に時間を費やすことのできる環境づくりによって生産性が向上し、従業員に支持され、最終的に顧客から支持される売場づくりにつながるでしょう。
プロフィール
染谷 剛史 (そめや たけし)

1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。「はたLuck」サイトはこちら
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