総菜SPAが一気に進んだ理由と、対コンビニの新たな潮流とは
食品を中心としたトレー・容器のメーカー大手であるエフピコ(東京都/佐藤守正会長兼エフピコグループ代表)。食品スーパー(SM)各社が総菜のSPA(製造小売)化を進めるなか、総菜容器に求められる機能や規格にも大きな変化が生じているという。SMの総菜の変遷を長年間近に見てきた同社執行役員の前田知司氏が、メーカー側から見た総菜SPA化の潮流と背景、そして容器メーカーにもたらされつつある変化の姿を解説する。
総菜のSPA化はなぜ一気に進んだのか
昨今、大手を中心にSM各社が総菜のSPA化を志向するようになった。
これまでも総菜部門で独自に原料を調達したり、あるいは生鮮部門と原料を共有して生鮮総菜の展開を広げたりといった動きはあった。しかしそれは総菜部門における「部分的な取り組み」であり、サプライチェーンを一気通貫して価格、品質、品揃えで差別化を図るという、ビジネスモデルとしてのSPAとはややニュアンスが異なるものだった。
ではなぜここに来て、本格的なSPA化へと舵を切ろうとする企業が増えているのか。その背景には、とくにここ数年間で起こった、総菜を取り巻く環境の劇的な変化があると考えている。
なかでも大きな“変革”を促したのが、2020年に起こった新型コロナウイルスの感染拡大だ。
周知のとおり、コロナ禍は消費者の購買行動を大きく変化させた。外出を控える動きが広まり、内食需要が拡大。一時的にSMの総菜の売上は急減したが、一方で保存性の高い冷凍食品が見直された。外食も壊滅的な打撃を受けた半面、テイクアウト需要が拡大。外食ならではのおいしさを家で楽しめるという利便性にあらためて注目が集まった。
コロナ禍が世界的にようやく収束を見せつつあった22年2月には、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発。為替相場も不安定化して円安が急速に進行し、原材料価格が一気に高騰した。総菜もその影響を大きく受けたが、売価へダイレクトに転嫁したSMは少なかったようにみえる。
それとほぼ同時期、全国的に人手不足の問題がいっそう深刻化しはじめた。そうしたなか
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