ロカボ・糖質オフ商品の購入者像を徹底分析!市場拡大のポイントとは?
ロカボのお酒の購入シーンとは?
先ほどの結果より、ロカボのお酒の購入者は、ふだんから意識してロカボ・糖質オフ商品を摂取しているわけではなく、飲むなら一応低糖質を、程度で購入している方が多いということがわかった。また、同商品は全体でみると子供のいない方に購入されやすいが、お酒のロカボ・糖質オフ商品に関してはお酒カテゴリー全体と比較して子供のいる女性に購入されやすく、ターゲット像も他の同商品購入者とは違っていた【図3】。
お酒カテゴリー全体の購入者とロカボのお酒購入者それぞれについて、一緒に買われやすいものをみると、ロカボのお酒購入者の方が肉類(とくに輸入)や半総菜の購入が多く、子供と一緒に囲む食卓の中でロカボのお酒を楽しんでいるシーンが想像される。毎日飲むならロカボのお酒、という謳い文句とともに、お肉売場や簡便品売場で関連販売をすることで、より手に取っていただきやすくなるのではないだろうか。
即席食品は介護食品売場でも展開
では、最もロカボ意識が高かった即席食品を購入する方は、ロカボ・糖質オフ商品以外にどのようなものを購入しているのだろうか。スーパーに来店するすべての買物客と比べて、ロカボの即席食品購入者が購入しやすいものを買われやすさの度合いが高い順に並べてみると【表1】、1位に介護食品が来ている。介護食品は伸びている市場だが、介護食品カテゴリー内には商品名でロカボや低糖質を謳った商品は見られない。介護食品売場でもロカボ商品を展開するとともに、今後の商品開発として、食事に関して制限のあるなかでもおいしく食べられる低糖質商品というのが求められているのではないだろうか。
ロカボ・糖質オフ商品の市場拡大のためのポイントは?
ロカボ・糖質オフ商品の中で大ヒットとなった「カップヌードルPRO」であるが、商品特徴として、高たんぱく×低糖質を謳っている。「糖質」「タンパク質」のインターネットでの検索指数の推移をみると、「糖質」の検索が落ち込み気味なのに対し、「タンパク質」は伸び続けており、2023年に入ってからは「糖質」を「タンパク質」が上回っている。その一方で「タンパク質」や「プロテイン」が商品名についている商品はロカボ・糖質オフ商品に比べてまだまだ少なく、伸びる余地があると思われる。
ロカボ・糖質オフ商品購入者のふだんの買物の中で、「タンパク質」「プロテイン」を謳った商品の購入点数をみてみると、カテゴリーによってばらつきはあるものの、全体の買物客と比べて1.5~2倍近く購入されやすくなっており【図4】、相性のよさが窺える。また、高たんぱく食品として有名なサラダチキンであるが、サラダチキン全体の売上は前年比を割っているなか、低糖質を謳ったサラダチキンの売上は伸びている。
「低糖質」に加えて「高たんぱく」という付加価値をつけるのはひとつの切り口として成長が期待できるカテゴリーとなっていくと思われる。こうした世の中の流れや購買特徴を把握し、商品開発や売場づくりにつなげていくことで、ロカボ・糖質オフ商品市場をより拡大させるチャンスがあるのではないだろうか。
文=日本食研ホールディングス株式会社 食未来研究室 室長 児玉一穂
食未来研究室ホームページ : https://nsk-shokumirai.com/