「冷凍牛」強化でロス管理と品揃えを両立!PC駆使するさとうの精肉戦略

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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精肉MD大

京都府、兵庫県、大阪府、福井県で食品スーパー(SM)を展開するさとう(京都府/佐藤総二郎社長)。同社がSMを運営する北近畿エリアは、総じて商圏人口が少ない上、競争も激化している。そんな中、さとうは、プロセスセンター(PC)を活用し、冷凍肉を強化。また、半調理品にも力を入れ、地域需要に応える売場づくりを行っている。

冷凍牛肉を強化カギとなるPCの活用

 京都府福知山市に本部を構えるさとう。創業は江戸時代初期の1666年(寛文6年)で、今年357周年を迎える老舗企業である。北近畿エリアに多くの店舗があり、地域密着型の店舗を運営している。しかし、北近畿は総じて人口が少ないうえに少子高齢化も顕著とあり、全国平均より速いペースで食品市場が縮小している。そんな環境下でも生鮮食品を扱うドラッグストア(DgS)やディスカウントストア(DS)が相次いで進出し、経営環境は厳しさを増す。

 これに対し、さとうは長期的な視点での支持獲得をめざし、安心安全はもとより、味、品質の高い商品を買いやすい価格で提供することに努める。精肉部門も同様の方針で、地域ニーズに応える品揃え、売場づくりを行なっている。さとうの全社売上に占める精肉の構成比は12.5%(2023年2月期、11月までの実績)。部門内の分類とそれぞれの構成比は牛肉2 1 %、豚肉2 7 %、鶏肉18%、ミンチ6%、加工肉2 1 %、生食1 %、その他6%。かつて豚肉は21~22%だったが、ここ数年上昇傾向にあり、数年前に牛肉と順位が逆転した。

 そんな精肉部門が近年、強化しているのが冷凍肉だ。5年前から取り組み始め、徐々に品揃えの充実を図ってきた。ここ数年、売上高は対前年比40%伸長しているという。冷凍肉カテゴリーの中でも、とくに力を入れているのが、3年前からPCで製造している冷凍牛肉だ。

さとうの大型冷凍平台ケースに並ぶ冷凍牛
大型冷凍平台ケースを導入し、冷凍牛を豊富に品揃えする

 この冷凍牛肉を製造しているのは「フレッシュクリエイター 福知山サプライセンター」(京都府福知山市)と「さとうグループ神戸総合物流センター」(兵庫県神戸市)の2カ所の自社PCで、3年前から解凍時のドリップを防ぐ急速冷凍機を導入し冷凍牛肉の製造をスタートしている。

 なお、両PCは豚肉、鶏肉、ミンチ肉などの加工も手掛け、全店に供給している。さとうの大型5店舗ではインストア加工を残しているが、それ以外の店舗の精肉売場ではほぼすべてPC製造の商品を販売している。

商圏人口1600人の狭小店で冷凍牛肉を訴求

 さとうの精肉売場を

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取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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