サミットの22年度下期〜23年度食品MD戦略の全貌 ベーカリー絶好調の秘密とは

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
Pocket

食品MD大

サミット(東京都/服部哲也社長)は、2017年度から部門を横断して生鮮総菜・半調理品を強化する「大総菜プロジェクト」を開始、異なる部門同士での連携する力の高さを武器に、商品力の向上、独自化を図ってきた。昨今はそんな部門間連携をより深めるとともに、原料開拓などバイヤーの活躍の範囲を広げることで、さらなる進化を図っている。

原料開拓、仕入れから異なる部門同士で連携

 サミットでは11年度より、消費者のライフスタイルやニーズの変化に合わせて、お客の「あったらいいね」を具現化する商品政策(MD)「新MD」を推進。「大総菜プロジェクト」はこの一環として、高まる即食・簡便ニーズに対応するべくスタートしたものだ。

サミット執行役員青果部・鮮魚部・精肉部・総菜部・ベーカリー部担当、大総菜プロジェクトリーダー 千葉周郎氏
執行役員青果部・鮮魚部・精肉部・総菜部・ベーカリー部担当、大総菜プロジェクトリーダー 千葉周郎氏

 昨今のコロナ禍では、サミットも在宅率の高まりや内食需要の拡大によって業績は大きく拡大した。しかし22年3月に全国で行動制限が緩和されて以降、外食が回復基調となり、家庭での喫食率が減少。原材料、資材、エネルギーの価格高騰や円安などの影響も受け、22年度上半期の既存店売上高伸長率は対前年同期比5.0%減と苦戦した。青果部・鮮魚部・精肉部・総菜部・ベーカリー部を担当する執行役員の千葉周郎氏は「売価の見直しが喫緊の課題となり、商品開発がやや滞りがちになった」と振り返る。

 こうしたなかサミットは今後、どのように消費者の支持獲得を図るのか。

 同社は17年度から「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」という事業ビジョンを掲げている。このビジョンを達成するためのMDについて千葉氏は「無意識に“買物スイッチ”が入ってしまうような他店にはない魅力が感じられる商品を提供することが重要」と説明する。そして、昨今の厳しい外部環境のなかで「サミットの強みである『大総菜プロジェクト』での商品化、またそのための原料の仕入れも、より部門横断で進め、商品力、価格競争力をともに高めていく必要がある」と話す。

 まず原料の仕入れでは、コロナ禍の約2年は産地訪問が控えられていたが、サミットでは22年春から再開しており、今後はコロナ前以上に積極的に行っていく考えだ。

サミットの他部門のバイヤー同士が一緒に産地訪問を行っている様子
22年春から産地訪問を再開。他部門のバイヤー同士が一緒に産地へ出向く取り組みを進めている

 たとえば「大総菜プロジェクト」では、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

ダイヤモンド・チェーンストア編集部紹介サイトへ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態