原料調達やブランディング…値上げ時代に勝ち残る!有力スーパーマーケットの商品政策2023!
国内外で原材料を開拓生産者の支援も
産地開拓や原材料の調達など、これまで以上にサプライチェーンを遡って商品開発を進める動きも加速している。
サミット(東京都)はコロナ禍で控えていた産地訪問を再開し、他部門のバイヤー同士が一緒に産地へ出向く取り組みを進めている。そうすることで、異なる部門でまとめて買い付けることによるスケールメリットを生かし、高品質かつ低価格な商品を実現できる原材料の開拓を図っている。
関東を中心に1都12県で宅配事業を展開するパルシステム生活協同組合連合会(東京都)は、厳しい原則に基づいた「産直協定」を結んだ契約産地を全国に約390カ所も持つ。同連合会はこれまでの商品開発を通じて構築してきたネットワークを生かし、契約産地と食品加工メーカーを結び付けることで、産直素材を使った商品を拡充しようとしている。安全・安心という付加価値の高い商品を供給するべく生産者のサポートにまで乗り出している先進的な取り組みといえる。
近年では、自社で海外から素材や商品を直輸入する企業も増えてきた。しかし、昨今の円安や海上運賃の高騰などにより、輸入開発についても今まで以上に自社で工夫をしなければ収益や価格競争力が出せない状況になっている。
こうしたなかイオン(千葉県)子会社でオーガニックSM「ビオセボン」を展開するビオセボン・ジャポン(東京都)は、自社で欧州現地の物流ルートを整備したほか、イオングループ各社との共同輸入を始めて、物流効率を大きく高めている。
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このように急激な外部環境の悪化を受けて、食品小売企業は、価格対応とともに独自性も発揮するべく、これまでよりも、原材料の調達や商品の企画、製造段階にまで自社で入り込み商品開発を進めていることがわかる。現在の厳しい外部環境は23年も続くとみられ、今後勝ち残っていくためには、食品小売にとどまらず、こうした取り組みを進めて差別化を自ら図っていくことは必須といえるのかもしれない。
それは食品小売企業にとっては新たな領域への挑戦であり、これまでにない専門知識やノウハウがいっそう必要になることを示唆している。本特集では先進的な企業が価格対応や独自化を図るために、最前線で実践していることをまとめている。今後の商品政策、商品開発のうえで一助となれば幸いだ。
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