原料調達やブランディング…値上げ時代に勝ち残る!有力スーパーマーケットの商品政策2023!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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SMもブランディングが求められる時代に

 独自商品の開発競争が激化するなか、開発した商品をうまく消費者に訴求することも求められるようになっている。

 そうしたなか、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)傘下のカスミ(茨城県)は22年1月に発売したオリジナルブランド「MiiL(ミール)」において、商品シリーズのブランディングに注力している。商品のコンセプト、ターゲットを明確に定めて、商品部で総力を挙げて商品開発を推進し、約1300品目という幅広いラインアップで販売をスタート。加えて、食の専門性を追求したカスミの新業態「BLANDE(ブランデ)」の店頭で売り出すとともに、SNSでも積極的に情報を発信し高い認知度の獲得に成功している。カスミ常務取締役営業戦略担当の満行光史郎氏は「独自化によって他社と差別化を図ることが求められる今、食品小売企業自ら、商品や自社の魅力をお客さまにきちんとアピールすることが不可欠になっている」と述べている。

 これまで商品を仕入れて販売することが主だったSMでは、ブランディングに成功している企業は数えるほどしかない。またブランドの醸成とは一朝一夕でできるものではない。そうしたなかカスミでは、バイヤーをはじめ従業員にマーケティングの教育を始めるなど、着実に取り組みを進めている。今からこのような発想・体制のもと商品政策・開発に取り組む企業とそうでない企業とではこの先大きな差が生じてきそうだ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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