ハレの日から日常へ コロナ禍による内食化を機にワイン需要が堅調に推移

石山真紀(ライター)
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絶好調のチリワイン「サンタ・ヘレナ・アルパカ」(アサヒビール)、バッグインボックス商品を拡充

気軽に楽しめるデイリーワインとして好調に推移するアサヒビールのチリワインブランド「サンタ・ヘレナ・アルパカ」。コロナ禍で家庭用のワイン需要が高まる中、「うちの夕食がディナーになる」をコンセプトに、情緒的価値を訴求するプロモーションでワインのある楽しい生活を提案する。

アサヒビールのチリワイン「サンタ・ヘレナ・アルパカ」

輸入ワイン売上容量No.1
20年は過去最高売上金額を達成

 アサヒビールの「サンタ・ヘレナ・アルパカ」(以下、「アルパカ」)は、輸入ワイン売上容量No.1のチリワインブランドだ。スティルワインの「シラー」「ピノ・ノワール」「カベルネ・メルロー」「カルメネール」「シャルドネ・セミヨン」「ソーヴィニヨン・ブラン」「ロゼ」に加え、スパークリングワイン2種、スペシャルブレンド2種、プレミアム3種、オーガニック2種をラインアップしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、家飲み需要が高まる中、2020年の家庭用のワイン市場(輸入・国産計)は容量ベースで前年比102%と微増となった。一方、「アルパカ」ブランドは、同社出荷実績で前年比109%と市場を大幅に上回る数字で推移。販売金額ベースでは12年の新発売以降、過去最高売上を達成した。

 家庭用ワインのカテゴリーはこの数年、微減傾向にあり、市場がシュリンクしている。

 アサヒビールは15年あたりから、市場環境に危機感を持っており、日欧EPAによる関税撤廃以降もダウントレンドに歯止めがかかっていないことから、消費者にワインの価値が正しく伝わっていないと分析。さまざまな調査を通じワインに対し、「敷居が高くて難しそう」、「ボトル1本飲み切れなくて不安」「飲むのに時間がかかる」といったネガティブなイメージを抱える一方、「おいしそう」「ぜいたくな気分になる」といったポジティブなイメージを持っていることがわかった。

 これらの結果から「アルパカ」ブランドでは、19年後半から、「いつもの家の食事でもワインがあることで、なんとなく雰囲気のよい食卓が実現できそう」という情緒的なベネフィットを訴求するマーケティングへとシフト。この施策が多くの消費者に刺さったことに加え、コロナ禍での家飲み需要増加が後押しをし、「アルパカ」ブランドの好調につながっている。

新商品はBIBの<カルメネール>

 今期は新商品として「バッグインボックス・3L」(以下、BIB)<カルメネール>を3月23日に発売する。

 アサヒビールは昨年10月、ブランド初のBIBとして<カベルネ・メルロー><シャルドネ・セミヨン>を発売し好評を得ており、アイテムを拡充することで新たな楽しみを提案する。パッケージは、「アルパカ」のアイコンはそのままに、木目調のデザインを採用し、キッチンなどに置いても雰囲気を壊さないナチュラルなデザインに仕上げている。

 コロナ禍では購買行動にも変化が生じ、外出自粛による買物回数の減少、まとめ買いやEC利用の増加といった傾向がみられる。とくにECの場合、買い物時の重さを考慮せずにすむことからBIBは時代に合った商品といえるだろう。

 アサヒビールでは20年より、『うちの夕食がディナーになる、アルパカ』をキーメッセージとして、店頭やWEB、雑誌等での情報発信を強化しており、21年も引き続き、幅広い世代に日常的にワインを楽しんでもらうための施策を強化していく。

 コロナ禍以降、家庭用ワインは既存ユーザーの飲酒量が増えたことに加えて、テレワーク等の推進により今まで時間が取れずゆっくりとワインを楽しむ時間のなかった共働き世代の新規ユーザーも流入してきている。

 同社では今後も、「アルパカ」ブランドを通じて、ワインのあるちょっと楽しい日常を提案することで、カテゴリーの拡大に貢献していきたいとしている。

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