ご飯のお供だけじゃない!新たな利用シーンで広がる「漬物・キムチ」市場
漬物はコロナ禍における内食機会の増加に加えて、「キムチ」「らっきょう」の健康訴求も響いたことでカテゴリー全体がプラスに動いている。ご飯のお供としてだけでなく、料理に混ぜる、トッピングで使用するといったメニュー提案も消費者に響いているようだ。
内食化傾向により漬物全体の需要が拡大
KSP-POSデータによると、2020年2月から21年1月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは前年同期比11.4%増の2万974円、数量P Iは同10.7%増の103.5と、金額・数量ともに2ケタ増となった。新型コロナウイルスの流行による内食需要の高まりを受け、緊急事態宣言が発令された20年3月以降はどの月も前年を上回っている。
「キムチ」も好調に推移している。20年2月から21年1月の期間通算の金額PIは同26.0%増の6235円。すべての月で前年を上回っており、とくに4月から7月にかけては前年比で30%以上の伸長となった。
「らっきょう」や「たくわん」、「浅漬け」といった他の漬物類も前年を上回っており、内食需要の高まりがカテゴリー全体の数字を押し上げる結果につながっている。
食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、20年の漬物の生産量は対前年比4.7%増の77万7246トンと3年連続の伸長となった。月別で見ても20年11月を除きすべての月で前年超えとなっている。なかでもらっきょう漬が同18.0%増の大幅伸長となったほか、福神漬け(同8.9%増)、野菜刻み漬け(同12.2%増)、キムチ(同8.7%増)も好調に推移している。
健康効果にも注目季節商品で新たな訴求を
少子高齢化による世帯人数の減少や食の洋風化による米食の減少、生活スタイルの変化に伴い、若年層を中心に漬物離れが緩やかに進行していたが、近年はらっきょうに含まれる食物繊維やキムチの乳酸菌といった機能面に注目が集まり、若い世代も漬物を手に取る機会が増えている。
キムチはそのまま食べるだけでなくキムチ鍋や炒め物など、料理への汎用性の高さでも人気がある。コロナ禍においては在宅時間が長くなり、家で食事をつくる機会も増えていることから、他の漬物もご飯のお供としてだけでなく、おにぎりやチャーハンの具材など、さまざまなメニュー提案を行うことで手に取る機会を増やすことができるだろう。
たとえば新鮮野菜と香味野菜を刻んで漬けたマルハチの「山形のだし」は冷ややっこのトッピングとして定着したことで、豆腐売場で展開している店舗も多い。とくに食べきりサイズの個食パックは、少人数世帯でも手に取りやすく、あっさりした味付けでご飯と一緒に野菜をしっかり食べられると幅広い年代に人気がある。
漬物は他のカテゴリーに比べてロングセラーが多いこともあって商品の入れ替えも少ないが、野菜の旬に合わせたエクステンションや季節限定品も多い。定番商品のラインアップに加え、季節商品の紹介や料理アレンジなど多彩な提案で気づきを与え、カテゴリーの活性化へつなげていきたい。