コロナ禍で苦戦したリフォーム市場、テレワークや在宅時間の増加で生まれた「清潔」「タッチレス」の需要に期待
施工時に徹底したコロナ対策を行う「安心工事宣言」
コロナはこうした需要トレンドの変化をもたらしたが、やはりその背景にあるのは在宅時間の増加によって設備の使用頻度が増えたことや、自宅にいるときに、より快適な空間を求めるニーズが強まったことが考えられる。
山本氏は、「カインズは本格的な工事を依頼するチャネルとしてはまだ認知が低く、どちらかといえば設備機器の販売と施工が主になっていますが、本格的なリフォームを提供できる建設業登録のカインズ365を設立し、家一軒も建てられるレベルの体制整備を進めています。そうした能力を生かして、今後はテレワーク向けのワークスペース提案などにも力を入れていきたいと思います」と言う。
また同社では、施工時の接触による感染を防止するために、今期は「安心工事宣言」を打ち出した。施工スタッフには検温、マスク、消毒などを義務づけ、さらに顧客に対してもソーシャルディスタンスなどの配慮を求める説明を事前に行い、同意を求めた。「一部のお客さまと施工店で否定的なご意見もありましたが、ほとんどはかえって安心して頼める、工事を受けられるという評価をいただき、理解が得られたと考えています」という。
そのほか近年の傾向としては、窓用シャッターや屋根材などの防災関連商品が大きく伸びているという。「近年当社店舗も台風や水害の被害を受けるなど、自然災害が増えており、防災が社会的なテーマにもなっていますので、お客さまの関心も高まっています。実際に災害が起きてから対処するより、リフォームによる事前対策を行うほうが効果的なので、その点を啓発・提案するカタログやホームページなども用意しています」(山本氏)。
またこれまでも実施してきた「電球1個の交換」から自宅を訪問するスマイルサービスも好評。暮らしや住まいに関する困り事の相談に乗ることで、次のステップのリフォームニーズにつながる事例も増えている。「どんなことであれ、お客さまが求めるニーズに応じた幅広いメニューを提示できることが、今後ますます重要になっていくと思います」と山本氏は語っている。