キリン本搾りTM チューハイ 本物感を伝えるためにパッケージを一新!=連載:深掘りすれば見えてくる「チューハイ編」
果汁とお酒だけでつくられた、香料・酸味料・糖類無添加のこだわりチューハイとして人気を集める「本搾りTM チューハイ」ブランド。熱烈ファンに支えられ、出荷数量は8年連続で右肩上がりだ。さらなる成長のために、今春パッケージを一新。強みである“本物感”をよりわかりやすく訴求していく。
クチコミ効果をねらいファンミーティングを開催
「果実とお酒だけで本当においしいチューハイをつくりたい!」 そんな想いから、2003年2月に誕生した「本搾りTM チューハイ」(以下、「本搾りTM」)は発売以来、厳選した果実を使用し、香料・酸味料・糖類無添加。果実とお酒だけの“素材ありのままの味わい”にこだわっている。そんなまっすぐで妥協しないものづくりの姿勢に共感し、「本搾りTM」を愛してやまないコアなファンは多い。出荷数量が8年連続伸長しているのはその証といえるだろう。とくに昨年は、通年新商品投入をしなかったにもかかわらず、2ケタ成長を達成した。
「本物志向など時流に乗っていることもありますが、熱いファンの方々に支えられているおかげだと思います」と話すのは、マーケティング部RTDカテゴリー戦略担当の原田桃子氏。以前はテレビCMを積極的に打ち、大々的に認知をとる手法を用いていたが、ウェブを中心にターゲティング広告などを実施。ファンの声を活用することにフォーカスしている。
その最たるものが、“本搾りすと”と呼ばれる「本搾りTM」ファンのお客を招いたファンミーティングだ。「ファンの方と直接お会いしたい」という想いから、昨年8月24日にキリン本社で初めて開催された。オウンドサイトで告知したところ、募集人数60名に対し、驚きの2,000名を超える応募が殺到。しかも募集期間はわずか1週間程度だったにもかかわらずだ。予想を大きく上回る事態にうれしい悲鳴だったと原田氏は振り返る。
「熱量の高い方々に来ていただき、私たちつくり手のこだわりや信念をお伝えして、より深く『本搾りTM』を知っていただくことにトライしました。そのねらいは、きちんと伝えることで、正しい情報が正しく知っている人から広がっていくこと。もともと『本搾りTM』はクチコミで飲み始めた人が多く、それを活用した施策のひとつがファンミーティングなのです」(原田氏)。
市場のトレンドを背景に間口も奥行きも拡大
「本搾りTM」は一度好きになると、「これじゃなきゃ!」と思わせる商品であり、ファンの熱量がとても高い。そのため、奥行きの深いブランドとして知られているが、最近では間口も広がっている。
「果実本来のすっきりとした甘味なので、食事とも相性がよく、飽きることなく飲み続けられるのが評価されています。たまに飲む1杯ではなく、デイリーに楽しめるのが魅力といえるでしょう。また、これまでは『とりあえずビール』で始まり、2杯目以降に甘いものやアルコール度数の高いものに変えるという飲み方が一般的でしたが、最近では1杯目から缶チューハイを選ぶ人が増えてきました。それに伴い、『本搾りTM』もスターターとしてチョイスされるようになっています」(原田氏)。
間口拡大には、昨今のレモンサワーブームも寄与しているようだ。「本搾りTM」の通年フレーバー4種(グレープフルーツ、レモン、オレンジ、ピンクグレープフルーツ)の中で最もボリュームの大きいのはグレープフルーツだが、伸び率でいえばレモンが最も高い。市場のトレンドを背景に大きく伸長したというわけだ。だが言い換えれば、これまでお客にレモンのおいしさを伝え切れていなかったということであり、まだまだのびしろがあるということでもある。そこでキリンビールでは、新しいお客にも手にとってもらえるように、今春、パッケージデザインのリニューアルを行う。3月製造品から新パッケージで店頭に登場する予定だ。