青森ダウンなどSANYOCOATの10~20万円の高額アウターが飛ぶように売れる理由
世界最大級の見本市でも「ビューティフル!」

「100年コート」も「青森ダウン」も購買層は可処分所得の高い40代、50代が中心だが、「予想外なことに20代のお客さまも多い」と浅野氏。サステナビリティに敏感で、ファストファッションに食傷気味なZ世代の「高くてもいいものを長く着たい」というニーズに、「SANYOCOAT」の普遍的なものづくりへの姿勢が共感を得ているようだ。
「売っておしまいではなくて、お客さまと長くコミュニケーションをとれる商品だと思っているし、そのようなブランドになっていきたい」
浅野氏のその言葉を裏づける取り組みとして、「100年コート」では購入者に対して、3年おきのメンテナンスサービスを提供する、オーナープランを用意。
一例を挙げると、「100年コート」では袖丈をあえて長めに設定している。コートの袖が摩耗によって擦り切れたら、補修して長く使えるように「補修用の縫い代」をあらかじめ設けているのだ。こういったディテールにも、青森ファクトリーに蓄積される補修の経験とノウハウが反映されている。
この青森ファクトリーの高い縫製技術が、遠く海を渡ってファッションの聖地・イタリアでも共感を得た。
「ビューティフル!」「ビューティフル!」
1月にイタリア・フィレンツェで開催された世界最大級のメンズファッションブランドの国際見本市「ピッティウオモ」。三陽商会の「SANYOCOAT」の展示エリアには人だかりができ、メイドインジャパンの高い縫製技術に多くの賞賛の声が集まった。
「出展する前はどれだけ受け入れられるか不安だったが、予想以上にいい反響が得られた」と浅野氏は手ごたえを口にする。都心にある日本製のデニムやスニーカーのショップにはインバウンド観光客が列をなすほど、「メイドインジャパン」のアパレルは高い人気を誇る。今後は「100年コート」や「青森ダウン」の海外展開も可能性がありそうだ。