青森ダウンなどSANYOCOATの10~20万円の高額アウターが飛ぶように売れる理由
三陽商会のR&D拠点「青森ファクトリー」

「100年コート」に「青森ダウン」と、好調な2ラインは、いずれも三陽商会の展開するアウターブランド「SANYOCOAT」のシリーズだ。
「SANYOCOAT」の起源は、実は戦後の1946年にまでさかのぼる。戦後の物資が少ない中、創業者の吉原信之が軍隊時代のつてを辿り、戦時中の防空暗幕の材料の備蓄を発見。この防空暗幕を用いて作った紳士用の黒いレインコートが三陽商会のレインコート第1号となった。
設立70周年の2013年には、企業タグライン「TIMELESS WORK. ほんとうにいいものをつくろう。」を策定。いつの時代でも変わらない、普遍的な価値のあるものづくりの姿勢をこのタグラインに込めた。
これを体現すべく、同年に立ち上げたコートシリーズが「100年コート」だ。親から子へ、子から孫へと“世代を超えて永く愛されるコート”を目指し、時代を選ばないオーセンティックなコートづくりに取り組んでいる。
100年コートのものづくりを支えるのが、前述したコート専門工場「青森ファクトリー」だ。青森・七戸町にあるこの工場には約50名の縫製職人を揃え、「SANYOCOAT」の約7〜8割の製品を手がけている。
「この青森ファクトリーを、当社のR&D拠点に位置づけている」と浅野氏は力を込める。もともとはコットンギャバジン製のコートを中心に縫製していたが、近年では積極的な設備投資を行い、さまざまなアイテム・素材へと技術の幅を広げている。その象徴が「青森ダウン」で、ダウンコート用の封入機や熱圧着機を導入し、生産体制を整えた。