青森ダウンなどSANYOCOATの10~20万円の高額アウターが飛ぶように売れる理由
ダウンの素材から縫製まで「青森産」

2023年秋冬シーズンには、新たな高価格帯アウターラインをリリースした。意外にもそれは「ダウン」だ。
「青森ダウン」は、高い防水・防風・透湿機能を持つ「PERTEX (R) SHIELDAIR」を使用。三陽商会の自社縫製工場「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」で一貫して縫製を行い、中に詰めるダウンも青森産と「メイドイン青森」にこだわった。
メンズ・レディース各1アイテムずつでリリースしたところ、20万円近くするにもかかわらず高い消化率。2024年シーズンではアイテムをメンズ・レディース各3モデルに大幅に増やしたが、勢いは衰えず「昨シーズンの5倍、計画比の2倍で売れている」(浅野氏)
とくに人気なのが、繊維メーカーのセーレンと共同開発した「BLACK OF BLACKs」のシリーズだ。素材の機能性はそのままに、合成繊維では難しいとされる濃い黒色を実現した。
また、レディースではとくにロング丈のダウンコートが売れている。暖冬が続き、「ロング丈は売れない」と生産を取りやめるメーカーも見られる中で“常識”を覆した売れ行きを示している。
高価格帯のダウンコートといえば、「モンクレール」「タトラス」「カナダグース」といった海外ブランドが連想される。競合も多い中で、ダウンの素材から縫製まで青森産というローカルに振り切ったブランディングが奏功し、「こちらから特別なプロモーションを仕掛けたわけではなく、メディアに取り上げてもらった」(浅野氏)ことで反響を呼び、認知が広まっていった。