三島食品の「ゆかり」、脱「ふりかけ依存」で売上アップ、その戦略とは
米が主食の日本人にとって、ふりかけは切っても切れない存在だ。中でも、紫色のパッケージでお馴染み、赤しそふりかけの「ゆかり」を知らない人は少ないだろう。その「ゆかり」を製造、販売する三島食品が、大手スーパーマーケットチェーンとタッグを組んで行う「メイン食材販売支援プログラム」が注目を集めている。三島食品ならではの、スーパーマーケットと協業する販促プログラムとはどのようなものなのか。特命営業部長の吉本英治氏に話を聞いた。
調味料としての「ゆかり」を普及へ
三島食品の看板商品である「ゆかり」は、54年の歴史をもつヒット商品で、同社の売上の約3割を占める。現在ではご飯のお供として各家庭にも広く普及しているが、発売当初は業務用がメーンで、学校の給食用としての納品がほとんどだった。
最初は、給食づくりの現場で、ご飯の味付けに「ゆかり」を混ぜる、というのが主な使われ方だった。一方で「ゆかり」は彩りもきれいな上に塩味もある。次第に、「ゆかり」を使った新たな給食メニューが開発されるようになっていったという。
「調理員の皆さんが最初に目を付けたのが野菜。なかなか児童に食べてもらうのが難しい野菜をどうすればおいしく食べてもらえるか。そう考えたときに、『ゆかり』で和えるというメニューが広がっていった。そこから、野菜に限らず、肉や魚の味付けにも使われるようになっていった」
給食現場では、すでに「ゆかり」は塩コショウと同じような調味料として活用されるのが一般的となっている一方で、家庭ではあくまでも「ふりかけ」としての認知の域を出ていないという実態があった。
「ご飯のお供として『ゆかり』を使ってもらうだけでは、家庭用の売上をこれ以上増やすのは難しい。給食の現場でさまざまな食材に活用してもらっているように、『調味料』という位置づけで認知してもらい、野菜や肉、魚に加えたときのさっぱりとした『ゆかり』の味わいや魅力を多くの人に知ってもらいたいと考えた」と吉本氏は話す。
これが、生鮮食品とのクロス販売を行う「メイン食材販売支援プログラム」を始めたきっかけである。プログラムがスタートして約9カ月。「ゆかり」シリーズの2023年通期売上は、前年比約108.9%と好調だという。