夏の涼味、コロナ禍以降の夏場の食卓の変化
急激な気温上昇時は非加熱メニュー
気温が上昇し本格的な夏を迎えるにあたり、急激な気温の上昇や連続する猛暑などさまざまな気温の変化がある。そこで、食MAPデータから暑さのシーンごとに食卓傾向を見てみよう。
最高気温の前日差が+5℃以上の夕食で出現したメニューTI値と通常の夕食メニューTI値を比較してみると、最高気温の前日差が+5℃以上の食卓では、野菜サラダ・生野菜や刺身、納豆、酢の物・マリネ、冷奴など、冷製メニューの中でも調理時に加熱のいらないメニューの出現が増加している。そのほかに、残り物の味噌汁や残り物のご飯などの出現も増加している。急激な気温の変化は体への負担が大きく、食卓で涼味を感じるだけでなく、非加熱メニューや残り物を利用し調理時の暑さを回避しているのかもしれない。季節の変わり目など、気温の変化が大きい時期は定番の涼味麺だけでなく、調理時の非加熱メニューの訴求も必要となりそうだ【図表③】。
猛暑日が続いたときのメニュー
続いて、猛暑日が続いた食卓はどんなメニューが出現するのだろう。最高気温35℃以上(気象庁調べ:東京)が3日続いた日を連続猛暑日3日目とし、1日目と比べるとご飯や炊き込みご飯、まぜご飯などのご飯メニューや味噌汁、中華・エスニックスープ、ポタージュスープなどの汁物の出現が増加している。汁物は全体で見ても、猛暑日3日目のTI値が406.6で、猛暑日1日目の359.7と比べ46.9ポイント増加することがわかっている。一方で、にぎり・手巻きやのり巻き・いなりなどの寿司系メニューは減少している。そのほかに、冷たい和風麺が猛暑日3日目に減少する一方で、温かい和風麺の出現が増加するなど、猛暑日も3日目になると冷製メニューを控えるなど体への気遣いが影響するのかもしれない。おかず類を見ても、猛暑日3日目になると、野菜炒めや魚の干物、焼き魚など温かいメニューが増加する一方で、酢の物・マリネ、刺身、ぬか漬けなど冷製・非加熱メニューが減少するなど、「冷→温」へのシフトが起きていそうだ【図表④】。もちろん猛暑日は出現が増加する定番の冷製メニュー提案は必須だが、猛暑が続くことによる食卓や生活者の変化も見逃せないポイントだ。
食卓と気温は密接な関係にあり、気温の変化をとらえながらより柔軟な提案が必要となるだろう。
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