「辛ラーメン」好きな人も意外と知らない「辛ラーメンキムチ」大躍進の裏側
一方、「辛ラーメン」は23年に入っても前年比2ケタ増と好調に推移。好調の要因について農心ジャパンマーケティング部課長の三浦善隆氏は「『辛ラーメン』は指名買いが多く、辛いラーメン=『辛ラーメン』というイメージもしっかり根付いている。
とくに同ブランドはSNSでの情報発信やメニュー提案を強化し、離反していた消費者を含め多くのトライアルを獲ることができた。ほかにはないフレーバーだからこそ価格に左右されることなく、一度食べるとリピーターとなるユーザーが非常に多い」と分析している。
辛ラーメンのメーン購買層は40代の主婦層だが、他の即席めんと比較しZ世代のユーザーも多く、親子で楽しんでいる。また即席めんの主な喫食シーンは土日の昼食だが、「辛ラーメン」については平日や週末の夜の利用も多く、異なった楽しみ方をしている。
袋麺のニーズが高い「辛ラーメン」はアレンジレシピも豊富に開発しており、ブランドサイトや公式SNSを通じて紹介している。
辛味抑えた日本人好みの味「辛ラーメンキムチ」
幅広いラインアップを展開する「辛ラーメン」の中でも直近、とくに売上を伸ばしているのが「辛ラーメンキムチ」だ。
20年発売の同品は、農心ジャパンのスタッフも味の開発に係わっている。高級小麦にこだわったオリジナルと同じ麺、農心独自のフリーズドライ製法により、しゃきしゃきした食感が楽しめる白菜キムチが具材として入っており、辛味と酸味のバランスがよいスープによくマッチする。
23年、ある流通チェーンで行った試食販売では、「辛ラーメン」と「辛ラーメンキムチ」の食べ比べ企画を実施。すると「これなら辛くないので食べられる」と多くの来店客が「辛ラーメンキムチ」を購入。
辛さゆえにこれまで「辛ラーメン」を敬遠していたユーザーを取り込むことに成功した。