売場販売効率はホールフーズの倍!「トレーダー・ジョーズ」の商品を買ってしまう4つの理由
市場競争の激しい米国の小売業界では、競合他社との差別化が何よりも重要となる。商品開発においては、価格が安いだけではなく、独自性や消費者の潜在欲求を先取りするような企画力が重視されている。本稿では、圧倒的な独自性を持つプライベートブランド(PB)商品で熱烈な支持を集める米国小売、トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)とターゲット(Target)の商品戦略を見ていきたい。
コンセプトは「トレジャーハント」
「トレジョ」と言えば、米国での店舗視察で欠かせない企業だ。食品業界の関係者でなくても、米国に行けば必ず訪れ、そしてつい何か買ってしまう店でもある。1967年に現在の社名に変わって以降、創業者のジョー・コロンビー氏のスタイルを頑なに守り、2019年度の推定売上高は505店舗で137億ドル(1兆4796億円)。平均店舗面積は約1400㎡と通常のスーパーマーケット(SM)の3分の1程度でありながら、売場面積当たりの売上高は小売業界全体でもトップクラスだ。
トレーダー・ジョーズの店舗を訪れると、社員はハワイアンシャツを着て非常にフレンドリーで、店舗は手描きの絵やPOPにあふれ、ノスタルジックな雰囲気が漂っている。広告満載のLEDモニターなどどこにもない。店内ではサンプリング(試食)コーナーがあり、これと紙のフライヤーが唯一のマーケティング媒体であり、ソーシャルメディアもTV広告も打たず、ロイヤルティプログラムもEメールアドレス収集もしない。当然ながらEC販売もない。
これだけでもいかに同社が独自のポジショニングを取っているかがうかがい知れるが、同社を成功に導いているのは、やはり卓越した商品開発力だ。
同社はEDLP(エブリデイ・ロープライス)戦略を貫き、セールは一切行わない。一般的なSMの展開商品数は約5万アイテムに及ぶが、同社は約4000点で、そのうち80%以上がPBで構成されている。オーガニックや自然素材、フェアトレードなどを切り口とした食品を低価格で提供しているのが同社のPBの特徴だが、決してそこが売りではない。トレーダー・ジョーズでの買物経験のコンセプトは「トレジャーハント(宝探し)」であり、そのために次のような商品開発を行っている。以下、キーワードとともに見ていこう。
①意表をついた商品企画
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