配送拠点に1億ドル投資にPB 戦略刷新!米ターゲット、本気の再成長戦略とは

平山 幸江 (在米リテールストラテジスト)
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アメリカ小売業

コロナ禍ではとくにEC需要増で業績好調が続いていた米小売大手のターゲット(Target)だが、ここにきて業績はややスローダウン傾向にある。とくにインフレの影響は大きく、2022年度第4四半期は既存店売上高成長率が0.7%増、インフレ率7.7%に鑑みると実質的にはマイナス成長となった。その一方で、足元では店舗、物流、商品の各領域でチャレンジングな試みを展開しており、再成長を図っている。

トレンドに逆行する“店舗大型化”の成否

 まずはターゲットの直近の店舗開発の状況について見ていこう。同社は近年、都市型小型店フォーマットの開発を推進しており、ニューヨーク・マンハッタンをはじめとする大都市部に180以上の小型店を展開している。

 その一方で22年11月には、従来の大型店よりさらに1900㎡広い「超大型フォーマット」を発表した。その特徴は以下のとおりである。

ターゲットの超大型フォーマットの完成予想図
超大型フォーマットの完成予想図。今後は同フォーマットでの出店が基本となる

①EC売上拡大を志向

 ターゲットは「ハブとしての店舗(Storesas Hubs)」戦略のもと、ECオーダーの96.7%(22年度)を店舗から出荷し、うち10%を即日配送している。超大型フォーマットでは店内フルフィルメントスペースを既存店の5倍に広げ、EC売上比率のさらなる拡大に寄与させるねらいがある。

②品揃えの拡大

 とくに食品・飲料において、ナショナルブランド(NB)・プライベートブランド(PB)ともに品揃えを拡大する。また、「アップル」「アルタ・ビューティ」など外部ブランドの導入も加速させる。

③SDGs達成のための取り組み

 地元産の木材を使用し、窓の面積を広げて自然光を取り入れ、観葉植物を各所に配置するなどして、ナチュラルなストアデザインを採用。「40年までに二酸化炭素排出ゼロ」という目標に向け、冷蔵設備の変更、EV(電気自動車)充電器の導入、ソーラーパネルの設置も行う。

④従業員体験の向上

 バックヤードの従業員用オフィスに

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記事執筆者

平山 幸江 / 在米リテールストラテジスト

慶應義塾大学、ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業。西武百貨店勤務後1993年より渡米。伊藤忠プロミネントUSA(Jクルージャパン)、フェリシモニューヨーク、イオンUSAリサーチ&アナリシスディレクターを経て2010年より独立。日系企業の米国小売事業コンサルテーションおよび米国小売業最新トレンドと近未来の小売業をテーマに、ダイヤモンド・リテイルメディア、日経MJ他に執筆、講演会多数。

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