アマゾンがサブスク型診療サービスを買収! グーグルも顧客に?
アマゾン(Amazon.com)は7月21日、米国でサブスクリプション型の診療サービスを手がける米ワン・メディカル(One Medical)を、総額約39億ドル(約5200億円)で買収することで両社が合意に達したと発表した。近年アマゾンが注力する医療・医薬分野の事業拡大がさらに加速しそうだ。
サブスク型初期診療サービスとは?
ワン・メディカルは、サブスクリプション型の初期診療(プライマリーケア)を、対面やオンラインで受けられるサービスを提供している。2022年3月末時点で、全米25エリアで計188の診療所ネットワークを運営しており、76万7000人の会員、8500社の法人顧客を持つ。「ワン・メディカル・ナウ」と呼ぶオンライン診療サービスを年額199ドル(約2万6000円)で提供している。
米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、13年末までワン・メディカルで医務部長を務めていたジェフ・レビン・シェルツ氏は、「かかりつけ医を持たない人は数多くおり、これらの人々を顧客として獲得できる企業には成長可能性がある。初期診療には満たされていないニーズがたくさんある」と述べている。
他方、アマゾンのヘルスケア部門で上級副社長を務めるニール・リンジ-氏は声明で「医療サービスには”再発明”が求められている。ヘルスケア体験の質を改善する必要がある」と指摘。こうした考えが同社によるワン・メディカル買収につながったとみられる。
医療・医薬分野のビジネスを拡大するアマゾン
アマゾンは近年米国において、医療・医薬関連のビジネス拡大に力を入れている。
20年7月には米医療サービスのクロスオーバーヘルスと提携し社員向けクリニックを開設すると発表。すでに、カリフォルニア州やテキサス州、アリゾナ州、ケンタッキー州、ミシガン州の約17都市で展開している。
さらに同年11月には、処方薬のネット販売事業「アマゾン・ファーマシー(Amazon Pharmacy」を立ち上げた。同事業の前身は、18年に約8億ドル(約1060億円)で買収した米オンライン薬局大手ピルパック。この企業は患者が医師からもらった処方せんをネットで受け付け、複数の薬を服用時間帯別に一包化し、米49州に宅配していた。
また、19年9月には「アマゾン・ケア(Amazon Care)」の名称で医療部門を立ち上げ、翌年にサービスを開始した。当初は社員とその家族向けで、対象地域もワシントン州などの一部に限られていたが、その後規模を全米に広げ、他の企業にも提供を始めた。22年2月には米国で対面診療サービスの対象地域を20都市以上増やすと発表。現在、
続きを読むには…
この記事は DCSオンライン会員(無料)、DCSオンライン+会員限定です。
会員登録後読むことができます。
DCSオンライン会員、DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。
月刊アマゾン の新着記事
-
2024/09/19
アマゾンのドローン配送が拡大フェーズへ!認可された「目視外飛行」とは? -
2023/05/18
アマゾンの最新ロボットアームは「倉庫完全自動化」を実現するか? -
2023/04/24
メタやグーグルへの脅威に!アマゾンの広告事業が急成長する事情 -
2023/03/16
アマゾンCEO、リアル店舗の拡大再開に意欲 食品・日用品で攻勢かける -
2022/12/29
アマゾン、成長鈍化で人員削減は不可避に……創業以来最大のリストラへ -
2022/11/24
アマゾンの経営スタイルに変化? ジャシーCEOの方針に”困惑”の声も……
この連載の一覧はこちら [32記事]
アマゾンの記事ランキング
- 2024-10-05次世代型「AIショッピングアシスタント」とは
- 2024-05-29利用減少から一転、会員数過去最高のアマゾン・プライム 復調の理由は?
- 2019-06-21アマゾン×ライフに立ちはだかる 生鮮宅配の王者、生協の壁
- 2019-12-30英料理配達企業へのアマゾン出資巡る調査、第2段階に移行=当局
- 2020-07-07数々の米アパレルを死に追いやったアマゾン・エッセンシャルズ静かに日本に上陸
- 2021-11-10「アマゾン・ブックス」の凄みがわからなければ、デジマの本質は理解できないといえる理由
- 2023-04-19アマゾンゴー米国8店舗閉鎖の理由と、クローガーの年10億 ドルリストラ策
- 2024-08-28米アマゾンがレジレス戦略見直し! 「ダッシュカート」を大規模展開へ
- 2020-01-31アマゾン、19年度の売上高は20.1%増、サブスクやAWSの高成長続く
- 2020-12-02米大手スーパーが導入した自動ショッピングカート洗浄機は日本にも上陸するか?