コロナで好調に推移する米コストコが、このあと正念場を迎えるかもしれない リスクとは
米国の会員制ホールセールクラブ(Membership Wholesale Club:MWC)のマーケットシェアは、2020年に0.5%、21年にさらに0.5%拡大した。コロナ禍で在宅勤務が広がり、都市部から郊外への人口移動が起きた恩恵を受けて会員数は激増している。しかし足元では過去約40年で最悪のインフレが進行、物資の供給不足も深刻化している。経営環境が変化するなか、MWC各社はどのような経営戦略を遂行しているのだろうか。
コロナ禍でEC事業も伸長
20年3月、パンデミックにより全米で都市封鎖と在宅勤務が始まった直後から、大都市住民の間では“郊外移住”が一種のブームとなった。家で働くならあえて家賃や生活費が高い都心部に住む必要はないという合理的な判断に加え、当時米国は世界最大規模の感染拡大に瀕しており、先行きの見えないなかで人口密集地を避けたいという心理も働いた。とくに30代を中心とした幼い子供を持つミレニアル世代では、これが初めて住宅を購入するきっかけになったという人も多いようだ。
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こうした結果、都心部の不動産価格が下落し、逆に郊外では物件を実際に見る間もなくオンライン上で争奪戦が繰り広げられる状態が続いた。コストコ(Costco)、ウォルマート(Walmart)傘下のサムズクラブ(Sam’s Club)、BJ’sホールセールクラブ(BJ’s Wholesale Club:以下、BJ’s)などのMWCは、こうした都心部からの移住組が生活必需品から家具まで安く購入できる場、しかもバルク買いができるので頻繁に店舗を訪れなくて済むというメリットも加わり、新規会員数と売上を急増させた(図表❶❷)。
最大手コストコの売上高対前年成長率を見ると、20年8月期までは8~10%で推移していたが、21年8月期は18.0%、その後四半期ベースでも
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