中国・京東がオランダ進出、新しいECビジネス「オチャマ」とは何か?


中国EC大手の京東商城(JD.com)は東南アジアへの進出に続き、欧州への進出を果たした。JD.comは中国では実店舗とECの融合したスーパーマーケット(SM)「7Fresh」も展開しており、同SM周辺エリアへの30分以内の配達を行う。
そのJD.comが、オランダのフェンライに大型施設を建設中で、それは「物流センターらしい」と2021年春頃から話題になっていた。同年秋になると、大学都市・ライデンに実店舗「オチャマ(Ochama)」をオープンすることが判明。現地の業界関係者の間では「7Fresh」と似たビジネスモデルを展開するものと考えられていた。ところが、蓋を開けてみると、まったく異なるビジネスモデルだったのである。
JD.comはまずEC「オチャマ」を開設した。ちなみに「オチャマ」とは、「オムニチャネル・アメージング」を意味する造語である。EC「オチャマ」の最大の特徴は、食品と非食品をワンストップ・ショッピングできる点だ。取り扱うのは「生鮮食品」「加工食品」「飲料」「冷凍食品」「日用消耗品」「電子機器」「美容&健康関連品」「家庭雑貨」「玩具&娯楽用品」「衣料・靴・装飾品」「子供用品」「ペット用品」の12カテゴリー。1つのECサイト上に、これだけ幅広いカテゴリーの商品が品揃えされているので「オンライン・ハイパーマーケット」と呼ばれている。ただし、今のところ品目数は7000アイテムとそれほど多くはない。今後商品を増やしていく予定だ。
次に22年1月10日、オチャマは注文した商品を受け取れるピックアップ・ショップを2店同時にオープンした。この施設はショップと名づけられているが、商品の販売は行っていない。ECの注文品を受け取る拠点であると同時に、ECで取り扱う商品のショールームの役割を果たしている。
さらに、ライデンとロッテルダムにピックアップ・ショップを出店して間もなく、アムステルダムとユトレヒトにもピックアップ・ショップを開設した。
高度なFCと受け取り拠点活用で食品を当日配送
EC「オチャマ」の仕組みは次のとおりだ。
太田美和子のユーロトレンド の新着記事
-
2024/03/21
欧州で 再び 小商圏小型店の開発が進む理由とは -
2024/02/17
苦境に立つ欧州百貨店 手を差し伸べるタイのセントラルとは -
2024/01/20
英国でセインズベリーがアルディからシェアを奪取!その手法とは -
2023/12/06
ヨーロッパでも中華系EC が勢力拡大の理由と戦略 -
2023/11/06
経営資源を「そこに集中?」スペイン百貨店ECIの戦略とは -
2023/10/05
無人店舗も拡大中、CVS9000店を展開するポーランドの「ジャプカ」とは
この連載の一覧はこちら [40記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-06南アフリカ初の「ウォルマート」開業 英国の「アマゾンフレッシュ」閉鎖へ
- 2024-11-25テキサス州だけで売上6兆円近く!最強スーパー、H-E-Bとは
- 2025-11-22米EC市場で注目度上昇!「カンバセーショナルコマース」とは
- 2025-12-04ウォルマートが生鮮にRFID導入 アマゾンは食品の新PBを発売
- 2021-06-07米ウォルマート、店舗従業員向け統合業務アプリ導入、スマホ74万台を無償貸与
- 2023-06-08コロナ禍もコロナ後も強い成長!米国小売業ランキング&分析2023
- 2023-10-06オランダ最大の小売企業「アルバート・ハイン」に今注目すべき理由
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2019-06-25PB商品製造からスタートして韓国で人気沸騰 PBメーンの人気スーパー「no brand」
- 2019-12-13米クローガー、ウォルグリーンと共同仕入会社を設立、提携関係を深化




前の記事
