楽天の24年1~6月期赤字も携帯事業に復調の兆し EC、金融サービスは好調

北野 裕子(ダイヤモンド・チェーンストア編集部)
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楽天モバイル、順調にユーザー獲得

 苦戦が続いていたモバイル事業も復調しつつある。ネットワーク品質の改善などに努めながら顧客獲得対策を強化した結果、楽天モバイルの契約回線数は、2312月期末の590万回線から770万回線に増加した(87日時点)。三木谷会長兼社長は理由について、通信品質の向上やユーザーがわかりやすい簡易な料金プランと言及。家族割などの料金プランで若年層のユーザー獲得が順調だという。

さらに6月には狭い路地や屋内でも電波が届くようになる「プラチナバンド」もサービス提供を開始した。三木谷会長兼社長は「圧倒的な品質向上を実現すべく地道な努力をしていきたい」と語った。モバイル事業単体において早期の黒字化をめざす。

設備投資などが原因で赤字は続いているが、三木谷会長兼社長は記者会見で「楽天モバイルのプロジェクトは、楽天グループ全体ですでにキャッシュフロー上ポジティブになってきている」と強調。88日には楽天モバイルが保有する通信設備等の一部を活用し、「セール・アンド・リースバック」の形態で投資家コンソーシアムから1500億円~3000億円を調達したことを発表しており、この資金調達により「グループレベルでキャッシュフローがすでにプラスになってきた。財務状況は飛躍的に改善している」と語った。

楽天グループは2412月期の通期連結業績予想を開示していないものの、証券サービスをのぞいた連結売上高について、前期から二ケタ成長をめざすとしている。そのため、主力サービスの「楽天市場」など国内ECを含むインターネットサービスでさらなる新規顧客の獲得、「楽天トラベル」においてインバウンド需要を取り込むほか、好調のフィンテック事業においても「楽天カード」のショッピング取扱高のさらなる拡大へ対応するとの方針を示した。

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