[東京 28日 ロイター] – 総務省が発表した8月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.4となり、前年同月比0.3%低下した。ロイターがまとめた民間予測はプラス0.3%だったが、予測を下回り4カ月ぶりにマイナス転化。2017年3月(同0.4%下落)以来、3年5カ月ぶりの下落率となった。電気代の下落幅が拡大したことや、7月末の連休に合わせて始まったGoToキャンペーンの影響により、宿泊料が大幅に下落したことなどが指数の押し下げにつながった。宿泊料は前年同月比32.0%下落で、7月(同4.5%下落)からマイナス幅が大幅拡大。総務省は、CPIの「宿泊料」について、全国の宿泊施設における料金の平均値によって全国一律の指数として作成している。そのため、東京はキャンペーンの対象外となったが、都区部の数値に全国の宿泊料下落の影響が反映されたと説明している。電気代は同3.2%下落で、7月(同2.5%下落)からマイナス幅が拡大。足元の原油価格は1バレル=40ドル台前半と持ち直しているが、電気代は数カ月前の原油価格が料金に反映されるため、下落幅が拡大した。
外国パック旅行費は同3.2%下落。7月にプラス転化したが、再び下落に転じた。東京都区部の総合指数は前年比0.3%上昇した。生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年比0.1%低下した。GoToキャンペーンの影響を除いた宿泊料の試算値は同7.1%下落。GoTo事業の影響を除いたコアCPIの試算値は同0.2%上昇だが、7月の同0.4%上昇から上昇幅は縮小した。みずほ総研経済調査部エコノミストの谷真吾氏は「GoTo事業の影響を除いてもコアCPIは前年比0.2%上昇と、伸び率は鈍化傾向にある」と指摘。旅行や外食などのサービス分野で需要の戻りが限定的だとし、「企業活動の低迷や購買意欲の減退を受けた物価上昇の鈍さが続き、2021年1―3月期には(東京都区部)コアCPIは下落に転じるのではないか」と予測した。