サプライヤー、スタートアップとも連携 英テスコが進める大胆な温室効果ガス削減策とは

OECD日本政府代表部参事官:久納寛子
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サステナブルOECD(経済協力開発機構)加盟国のなかでもとくに欧州では、温室効果ガス(GHG:以下同)の削減に向けて、企業や商品レベルでのGHG排出量の計測や、データ開示に野心的に取り組む動きが顕著になってきている。主に英国に本拠を置くテスコ(Tesco)を例に、自社だけでなく、サプライチェーン全体を巻き込んだアプローチを解説する。

CO2の削減目標を企業活動のKPIの1つに

 GHG排出の3分の1以上は食品分野から排出されていると言われており、食品スーパー(SM)が社会的に果たす役割は大きい。また、環境資源が枯渇すれば食品小売チェーン各社にとっても、事業活動の持続可能性が危ぶまれることになる。そこで、欧州の先進的な企業では、サプライチェーン全体で気候変動リスクを見える化して、それを低減するために行動し、さらにはその仕組み化を図っている。

 たとえばGHG排出では、スコープ1(事業者自らによる直接排出)や、スコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)に分類されるものに加えて、スコープ3(スコープ1・2以外の間接排出=事業者の活動に関連する他社の排出)についても、サプライヤーを巻き込み、削減に向けた具体的な取り組みを始めている。

 日本の食品小売業のなかでは、大手イオン(千葉県)が、CO₂排出削減に貢献する「トップバリュ」商品の開発や、製造委託先を対象としたアンケートなどを行っている。しかしイオンであってもスコープ3の排出量の管理・削減に関しては

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