円安修正で国内成長力に再注目!良品計画に広がるチャンスと課題とは

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良品計画が抱える課題、そして“乖離”

winhorse/istock
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 本年7月12日に発表された2024年8月期通期業績の会社予想は、営業収益6,600億円、営業利益530億円、経常利益535億円、親会社株主に帰属する当期純利益360億円となっています。

 先に述べた中期経営計画の2024年8月期の着地目標は営業収益7,000億円、営業利益750億円でした。為替の水準が変わっているので単純比較はできませんが、売上収益の面で目標に接近していることがわかります。

 ただし、国内事業の営業収益の目標4,500億円に対して、着地見通しは3,858億円となり乖離が見られます。また営業収益に対する営業利益の率は計画10.7%に対して着地見通しは8%にとどまります。

 なお、当期(2024年8月期)の開始時点で、2024年8月期から2026年8月期までの3か年のローリングプランが示されています。これについても最終年度の同率は8.8%の計画になっていますが、当期の着地はこの水準に前倒しで迫っているとは言い切れません。

 つまり課題が残っていることになります。

 この中期経営計画の期間、人件費の増加など想定外のコスト増加要因があったのかもしれませんが、それよりも商品力の磨き込みが不十分であった可能性が高く、さらに言えば、店舗を巡回する中で、地域密着がどこまで実現しているのかわかりにくい印象も残りました。

 同社のHPを見るたびにその洗練された内容に唸るばかりですが、店舗での購買体験が同じレベルにあるとは言い難く、改善の余地がありそうです。商品のストーリーについてもっと訴求が欲しいですし、良品計画が提案する「感じ良い暮らしと社会」の具体例をたとえばVRを最大限活用してもっと教えて欲しい気がします。地域密着が定着しユニークな店舗が増えてくれば、全国の良品計画の店舗を回ってみたくなるような消費者も増えていくでしょう。良品計画が掲げる「公益人本主義経営」の一歩進んだ具体像を同社の店舗で感じてみたいと思います。

 元祖ESG企業として良品計画が果たす役割は日増しに拡大していると思います。今後の変貌に引き続き期待を寄せたいと思います。

 

プロフィール

椎名則夫(しいな・のりお)
都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。
米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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記事執筆者

都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。

米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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