良かれと思って…変革を妨げる「意外な正体」とは
大きく後れを取った日本の流通業界
これまでの連載で、日本の流通業界、とりわけ、メーカー、卸、小売が独立している第一世代の流通業界で、流通の構造変革が遅れ、第二世代である製造小売業に競争劣位に立たされている状況を俯瞰してきた。すでに本連載で述べた通り、ECR(Efficient Consumer Response:効率的消費者対応)は、1980年代に米国で始まった業界構造変革で、今から40年以上も前に始まった取り組みである。なぜ、日本の流通業界では同様の取り組みが進まなかったのだろう?日本の経営者は、ECRの意義を知らなかったのだろうか?
90年代半ばに筆者が参加したECRカンファレンス(米国アトランタにて開催)には、変革への熱い思いを持った日本企業の優秀なスタッフが多数参加していた。私は、日本の流通業界も間違いなくその方向で改革が進んでいくと期待していたものである。決して、日本企業が世界で起こった変革のことを知らなかったわけでもなく、また、その重要性を見過ごしたわけでもない。
なぜ変革はできなかったのか?
2000年、私は米国勤務を終え帰国し、日本の流通業界の多くの指導者たちに取材をし、また、関係省庁とも意見交換をしながら調査を進めていたときに、見えてきたものがあった。それは、変革の重要性は
青木英彦教授の小売アカデミー の新着記事
-
2024/10/04
正しい判断力と鋭い断行力をさらに養う3つの論点 -
2024/09/09
将来的なリスクを適切に管理する「潜在的問題分析(PPA)」の技法 -
2024/07/19
複数の選択肢から最適な案を選択する「決定分析」の技法 -
2024/06/20
KT法の極意 5つのステップで真因に迫る、問題分析の技法 -
2024/05/17
組織の惰弱な意思決定を解消する「KT法」とは何か -
2024/04/05
日本のリーダーシップ形態の急所! 意思決定法の組織浸透が急務
この連載の一覧はこちら [11記事]
関連記事ランキング
- 2024-02-26ヤオコー、サミット、ベルク、マミーの総菜調査で判明!3つの新潮流とは
- 2024-02-27新しい総菜を提案する!ロック・フィールド3つの商品戦略とは
- 2024-03-11認知率は8割近くと高いが腸活実施経験者は3割強
- 2024-02-23生鮮総菜、PC超活用に本物のSPA化!「総菜の独自化」最前線
- 2024-02-28食品スーパーの総菜売上が、コロナ前比で2ケタ成長している理由とは
- 2024-02-29総菜部門MD2024年夏、月別の攻め方を徹底解説!
- 2024-03-29キリンiMUSEがドラッグストアとの協業強化、スギ薬局の売場展開事例も
- 2024-03-05クッキーカッター方式の出店戦略
- 2024-03-08「おうち居酒屋」ブームも継続、食中酒提案で楽しく豊かな家飲み時間を創出