「ダイソー」創業者・矢野博丈さんが「会社は潰れるもの」と考えて経営にあたった真意
“センミツ”を地で行く、とらえどころのない矢野さん
大創産業(広島県)の創業者である矢野博丈(やの・ひろたけ)さんは、まったくとらえどころがない方だった。
初めて取材した時には、4時間ほど席をともにしながら、わずか3ページのインタビュー記事をまとめるのに四苦八苦させられた。
それというのも、接触している間中、のべつまくなしでダジャレや冗談ばかりを口にするからだ。気がつけば、質問の大半は、はぐらかされてしまっている――。
“センミツ”とは、千のことを話したうちホントのことは3つくらいというほら吹き然とした人のことを指すが、まさに“センミツ”を地で行く方のように見えたのが第一印象だった。
真顔で長い話をするから、これは真剣な話であろう、とまじめに聴いていると「全部、ウッソー」という落ちがあったりする。一筋縄では、どうにもならない。
厄介なのは、そんな長い取材時間の中で刹那、鋭い経営論を口にすることだ。だから、集中を切らして、聞き流していることもできない。
常に遊び心を忘れていないから、発想は自由。「メキシコに出店する」とか「大道芸人を派遣する会社をつくりたい」とか、夢かうつつか境のないような独り言が満載だ。
その一方では、「この記者は、こんなことを考えているだろうな」と見透かし、大変な気配りがあったりする。
そんな矢野さんは、創業以来、「会社とは潰れるもの」という考えを持って経営に当たってきた。慢心を嫌い、手を抜くことを戒めてきた。健全だった会社や業界トップにあった会社の傾いていく様を嫌と言うほど見てきたからだ。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは
この連載の一覧はこちら [1799記事]
大創産業(ダイソー)の記事ランキング
- 2024-10-08真逆の戦略で高成長維持するダイソーとセリア!100円ショップ進化のゆくえ
- 2024-10-17ダイソー、新宿に大型の複合店を開店!若者を意識した売場づくりとは
- 2022-12-08新しい!ダイソー、「1 兆円1万店」に向け進化する組織、売場、商品、フォーマットとは
- 2022-12-08ダイソー、矢野靖二社長独占インタビュー 1 兆円・1 万店舗体制に向けた経営戦略を語る
- 2022-12-14スーパーやホームセンターにも出店! 小売業がダイソーを導入する”うまみ”とは
- 2022-12-14100 円で”だんぜんの価値”はこう作る!知られざるダイソーの商品開発戦略
- 2024-10-12ダイソーとセリア、購買データ分析で判明!客層、使われ方の 意外な ”違い“とは
- 2024-04-19“作者”亡き今も進化し支持を得る「ダイソー」 矢野博丈さんの訃報を受けて思うこと
- 2024-10-08海外生産・物流拠点拡大!ダイソー1 兆円戦略を矢野靖二社長が語る
- 2021-05-19ダイソー、公式通販サイトをオープン、配送エリアは千葉・神奈川限定