無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは
しかし、結末はいつも同じで、知らない間にどこかのコンサルが入って、グチャグチャにして元(改革前のカオス状態)に戻す。最初は怒りに打ち震えたときもあったが、自分が責任をとらないのがコンサルなのだから文句を言っても仕方ない。経済の仕組みは見えざる神の手にまかせ、正しさは歴史に証明してもらうしかない。だから三菱の人と話をしたとき、「オールドエコノミーの人と付き合うよりもスタートアップをビジネスにする方が商社としての醍醐味がある」と教えてもらったこともある。
また、10%の粗利しかとれない事業より、売上を半分にしてでも50%の粗利をとるのが成熟時代の付加価値だと三菱の商社マン達はよくいっていた。
さて、これにより、財閥系三商社の伝統的繊維産業は隅に追いやられてしまったことになる。三井は私の出自である日鉄物産と合併し、今でもOEMをやっている。住商は蝶理という専門商社に繊維子会社を事業譲渡した。そして、今回の三菱商事ファッションだ。
財閥三商社のOEM撤退は、非財閥三商社に影響を与える、そしてユニクロ:C
今回、良品計画の社長は柳井正氏の右腕とファーストリテイリング時代に評された堂前宣夫氏であり、日本を代表するサプライチェーンの第一人者だ。日経新聞によれば、良品計画の社長を引き受けるにあたり、知りすぎた人材ということで柳井氏との仲を懸念する論調が掲載されていたが、実はすでに99%以上がオフショア生産となっている衣料品などどうでもよいし、アジアの公司は仕向国渡しが常識になっていることも書いた。それより商社機能の内製化の本領が発揮されるのは食品である。
コンサルの私としては、特に加工食品など、グローバル貿易に自由度がない各国の戦略物資である食材をどのように振り回すのかに興味があった。特に、松井忠三元社長の食通ぶりは桁違いで、また、無印良品の真骨頂は加工食品にある。衣料品などどうでもよいし、ユニクロに勝つことは難しい。しかも、無印といえば米国と欧州は三菱商事が大株主で、米国はすでに破綻した。この「商社のIn house」の真の意味と影響は、私のような小物がいくら叫んでも誰も聞きはしないが、天下の商事がやれば「右向け右」で、一気に商社のOEM撤退が進みアパレル側が、商品作りはできなくなる危険性がある。
一方で、死んでもOEMにしがみつく専門商社もいる。彼らは彼らで残存者利益を得て、有利な事業を展開してゆく可能性はあるかもしれない。いずれにせよ、「商社は繊維から」という神話はこの出来事を契機になくなってゆき、仕入先を絞り上げてきたアパレルは、大きなしっぺ返しを食らうことになるだろう。
そうしたなかでミドルマンの存在を許さない欧米のアパレルや中華圏の工場のようにデジタル武装をしてD2Cで日本市場に攻め入ってくる企業は、さらに混沌とする日本の中間価格帯と呼ばれるあるのかないのかわからないセグメントにはいってくるだろう。
その1つがファーストリテイリングの「ユニクロ:C」なのだ。そもそもファーストリテイリングのように潤沢な資金を持ち、自由に欲しい人材を自由に獲得できる企業は、はじめてここでSPA (製販統合)化によるメリットを享受し、職にあぶれた商社マンの中で有能な人材を高給で引き抜き生産部門の人間を総入れ替えするだろう。このように、大きく影響を受けるのは、三菱でも無印でもなく、「その他アパレル」でなのだ。
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