無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは
今回は、三菱商事ファッションが事業分割し、衣料品製造販売事業を無印良品を展開する良品計画が引き継ぐことを表明したことが何を意味するか。その国内市場の大きな地殻変動が、実は「ユニクロ:C」が大いに市場を獲得する理由になる、つまりこの2つは全く関係していないようで、アパレルビジネスの近未来では関係しているのだということを解説したい。
無印良品の一部となる三菱商事ファッション
私は前回の寄稿で、商社のOEMは限界を超えており、意地でもOEMにへばりついている中高年達がハッピーリタイヤまでなんとか粘ろうとしている様を断じた。
時を同じくして、三菱商事ファッションが事業分割し、衣料品製造販売事業を無印良品を展開する良品計画が引き継ぐことを表明した。良品計画が引き継ぐ部門の売上高は328億円である。
今回の件はどう読めばよいのか、順を追って解説していきたい。
さて、三菱商事は実に面白い会社である。
『ブランドで競争する技術』(ダイヤモンド社)を10年前に上梓したとき、私は「商社の付加価値はトレードになく、やがて戦略コンサルタント業界との競合となる」と持論を展開していた。当時、別の大手商社に呼ばれ、商社の行く末に関して上記のような未来像を講演したとき、大阪、東京、中国三拠点を結ぶ衛星中継でその大手商社に、「投資や問題解決など全くイメージが付かない。コンサルが考える机上の空論だ」とふくろ叩きにあった。私の書籍に賛同してくれたのは三菱商事一社だったように思う。
実は、アパレルが商社のOEM機能を取り込む動きは早くから始まっている。古くは、ワールドが「常駐型ビジネス」といって、自社に商社専用の席を設けて自社の生産部のような役割をアウトソーシングしていた。また、最近の事例で言えば、オンワード樫山とサンマリノというニット製造工場を持つ専門商社の関係が、今回の無印良品と三菱商事ファッションの関係に似ている。
商社機能の取り込みの意図はどこにあるのか。戦略的思考が弱い組織は、ほんの数パーセントの商社マージンを抜くためだというが、需要が安定している生鮮食品と違い、売れ行きが読めないファッション商品は、オフ率との関係で調達原価率は全くことなる(詳細は、私の二作目「生き残るアパレル死ぬアパレルの4KPI参照」)。私はむしろアパレルの無駄な売価変更と低いEC化率による販管費率の相対的高止まりにこそ問題があると指摘し続けてきた。
オンワードとサンマリノのケースで言えば、機能別組織であるオンワードとのダブルコストを避けるためもさることながら、商社しか持ち得ないものづくりや国際物流のノウハウの内製化こそがその狙いなのだ。したがって、サンマリノという商社とオンワードの関係がますます深くなり、人的交流が盛んに行われている。
このように、産業衰退期になると、重複コストや組織スピードを上げるために垂直統合が進むわけだが、今回の三菱商事ファッションと良品計画の大型営業譲渡はその一つと見るべきだろう。
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