ユニクロの新ライン、「ユニクロ:C」が天下統一ブランドとなる理由
ユニクロトップ交代の意味
8月28日、株式会社ユニクロの社長に塚越大介取締役が9月1日付で就任すると発表した。これを見て、アパレル業界に詳しくない人は、いよいよ柳井氏交代かと早とちりしがちだが、実は、ファーストリテイリングの子会社に、株式会社ユニクロという会社があり、そこの社長に塚越氏が就任したという意味だ。同社は2年前の決算発表からグローバルエリア別に意思決定権限を分散化させるなど、大企業病予防をしつつカリスマ経営者である柳井氏に変わるトップを育ててきた。かくいう私自身も、丁度一年前の同社の分析で、縦(ブランド別)、横(エリア別)に権限予算を持たせ意思決定のスピードを速めてゆくだろう、そして、これは徐々に柳井氏への権限集中化を分散化させるアントレプレナーシップ維持の一巻であることを予測していた。https://diamond-rm.net/management/244267/
私は、心から柳井氏を尊敬する信者の一人であり、柳井氏語録で重要と思うものはノートにつけてあるほどだ。そのノートを見返すと、過去「早すぎるトップ交代」で苦い経験をもっているため、今回のサクセションプラン(経営トップなどを交代するときに使う経営用語)は慎重に数年がかりで進めたのだろう。日本と海外の売上利益を逆転させ、時価総額では業界で一時世界一位になるなど柳井氏の功績は言わずもがなだ。それだけでなく、同社はアパレル業界やリテール業界のあちこちに経営人材を輩出する人材輩出企業としても日本のリテール、アパレル業界に果たした功績は常人の域を超えているように思う。そして、時を同じくしてユニクロの新ラインとして世に出たのが「ユニクロ:C」だ。今回はこのユニクロ:Cの持つ重要な意味合いについて、ファーストリテイリングの考え方、進化の歴史を通して解説を試みたい。
私もまだじっくり売場を見たわけではないので、自身が綴ったユニクロの軌跡を追いながらこの新ブランドの意味を考えてみた。くどいようだが、本稿は私自身の個人的、かつ、初期的な感想であり、何かのファクトに基づくものではないことをお断りしておきたい。
河合拓のアパレル改造論2023 の新着記事
-
2024/11/07
同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ -
2023/12/26
「低価格×デザイン」だけではない しまむら好調、もう1つの理由とは -
2023/12/19
衝撃!SPA業態そのものには優位性がない、本質的な理由とは -
2023/12/12
日本のアパレルは勝てない!Z世代起点にするDholiCのビジネスモデルを解明! -
2023/12/05
半分以上のビジネスパーソンが勘違い!キャッシュフローと運転資本を正しく理解する方法 -
2023/11/28
仕事激変で商社の競合はコンサルに!人生を自分で切り開くための方法とは
この連載の一覧はこちら [49記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは