株価が1年半で約3倍に!パルグループ好調の秘密と抱える5つの課題の解決策とは
パルグループが抱える5つの課題に回答する!
「The51 Pal Report」(23年2月期の報告書)という冊子に同社が抱える課題が明記されていたので、私がその解決策を考えてみた(これは、なんら背景情報を持ち得ない河合拓個人の考え方であり、多分に実態を表していない部分が多いことをご了承いただきたい)。斜体部分は同社のレポートからの抜粋および要約である。
課題1.店舗大型化による運営効率の向上
会社取り組み:当社は、全社横断的に情報を共有し、他ブランドとのコラボや、ブランド内ブランドの開発などにより、生産ロットをまとめることによる原価率低減、他ブランドでの展開による知名度のアップなどにより、店舗を大型化することによる経営効率の向上を図っている。
河合分析&提案:対売上販管費率、原価比率はともに23年2月期で約45%。また、販管費の中身をみても非常にバランスが良く、店舗一本足打法で原価償却費や家賃に売上が見合っていない多くのアパレルと比較して◎(たいへんよい)だ。
現状のEC比率を見れば、現時点でAcquisitionコストを増額してROASの悪い投資を行うのであれば、ぜひ海外展開やD2Cをはじめてはどうだろう。外資競合と肩を並べて戦う時代は目前までやってきている。今、しっかりとしたプロフェッショナルと組み、新規事業開発を同時並行で進めてゆく。そのためには、M&A機能やグローバル本社機能をどこへ置くのかなど検討すべきことがあるように思う。
課題2.最終消化率の向上
会社取り組み:当社は「4週間MD」によって、販売予測の精緻化、最終消化率の向上を図っている。この4週間MDの定着に伴い、売上総利益率の向上とともに、余剰在庫の削減、最終廃棄商品の削減を図っており、今後もさらなる精度向上に取り組んでいく。
河合分析&提案:「4週間MD」というのは、この会社独特の言葉だが、基本的には1年を12シーズンにして短納期化、毎月店舗フェースとMDの組み合わせを予算とコーディネートなどを組みあわせて消費者を飽きさせない、ZARA型MDのようなイメージをお持ちなのではないか。
方向性は大賛成だ。将来的には、どこまで売れ筋追いかけ型にするのか、また、メンズなどはどうするか、雑貨のMDの組み方は何か、などだろうか。現状の正しい(本当に正しい分析をすること)フローと上記の方針を掛け合わせ、きちんとドキュメント化してゆくべきだろう。
課題3. シフトの効率化
会社取り組み:必要な時間帯に必要な人員配置を行うため、店舗作業のスケジュール化、SNS業務の効率化、時間帯別適正人員の配置、パート・アルバイトの勤務時間や勤務日数など採用基準の弾力化などによって無駄のない勤務シフト体制を構築し、効率的に売上を向上するよう取り組んでいる。
河合分析&提案: このように、多くの問いに対して多くの回答がある「人事戦略」のような抽象的設問設定は、プロジェクトを混迷させるだけでなく、現場の方向性や解釈にもズレがでてくることがある。ここは、(やってはいるとは思うが)シフト効率化であればシフト効率化に絞り、Devide and Conquor (しっかりわけて、一つひとつ解決して次に移る手法)を明確にすべきだろう。
例えば、店長会議を使い、人員生産性の似ているチームごとに(ブランドごとでは意味がない)チームを再編成し、ベストプラクティス(社内でもっとも上手にやっている店長グループ)とチャレンジチーム(伸びしろが大きい、会社は期待しているぞ、というメッセージを出すこと)にわけて、グループ討議と発表、評価を繰り返す。評価者は実績で、経営企画がチームごとの改善度合いを数値で毎月スクリーンに投影して何が違うのかを徹底討議するのだ。日本人が得意なKAIZEN活動と思えば良い。私の経験では110% – 130% の売上向上と生産性向上が見えてくる。
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