気鋭のアナリストが解説!クスリのアオキHD、5000億円に向け視界良好の理由

解説・文:柳平 孝 (いちよし経済研究所主任研究員)
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フード&ドラッグメインイメージ

昨今、生鮮を含む食品強化の動きを鮮明にし、フード&ドラッグの最右翼の1つともなっているクスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキ)。積極的な出店攻勢や既存店の好調によって直近の業績は好調に推移している。新たな中期経営計画では3つの重点施策を掲げ、それを推進することで売上高5000億円の達成をめざす同社だが、その成否は──。

「食品強化・調剤併設」で安定した成長続く

 クスリのアオキの業績が好調だ。2023年5月期上期(6~11月)実績は、連結売上高1842億円(対前年同期比14.3%増)、営業利益82億円(同21.6%増)と増収営業増益であった。会社計画に対しても、売上高は67億円弱上回り、営業利益も7億円弱のプラスとなっている。

クスリのアオキ
連結売上高4000億円という壮大な目標を掲げるクスリのアオキ

 営業面では、既存店増収率が同3.7%増、粗利益率も同1.0%ポイント(ppt)改善して28.2%であった。コロナ禍を背景とした需要増加の反動減による前年上期の苦戦(22年5月期上期の既存店増収率:同3.5%減、粗利益率:同1.2pptマイナス)からの回復分を考慮しても、順調な推移といえよう。

 会社側の23年5月期の通期計画は、連結売上高3600億円(対前期比9.6%増)、営業利益152億円(同8.0%増)で、前提条件の既存店増収率は同1.7%減の想定である。下期(12~5月)に入って以降の既存店増収率は、12~1月の累計で対前年同期比6.8%増となっており、下期の会社計画(同1.3%減)を大きく上回って推移している(図表❶)。

図表❶クスリのアオキの既存店増収率の月別推移

 クスリのアオキがこれまでメーンフォーマットとしてきたのは、売場面積1000㎡(300坪)型で、“近くて便利な店”と“かかりつけ薬局”を標榜し、商圏人口1万人の小商圏をターゲットにした「食品強化・調剤併設型」ドラッグストアである。

 ちなみに、同社のフード部門の売上高構成比は42.4%(22年5月期)を占め、フード売上高(約1390億円:同)は北陸エリアの食品スーパー(SM)最大手であるアルビス(22年3月期の売上高909億円)の1.5倍に相当する規模である。調剤部門を見ても、調剤売上高355億円(調剤売上高構成比10.8%)は北陸最大手とみられる。調剤薬局の併設率は59.3%(22年11月末時点)で、同様に食品強化・調剤併設型DgSを展開しているウエルシアホールディングス(東京都:同74.4%)や併設型調剤薬局に注力しているスギホールディングス(愛知県:「スギ薬局」事業のみで同85.1%)に次ぐ水準である。

新たな戦略フォーマット「400坪型」の出店拡大

 クスリのアオキは現在、第3次中期経営計画(22年5月期~26年5月期)を推進しており、「26年5月期に連結売上高5000億円」を数値目標の1つとして掲げている。21年5月期からの5年間の平均売上高成長率は

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解説・文

柳平 孝 / いちよし経済研究所 主任研究員

1991年北海道大学経済学部卒、同年大和総研入社。小売業界アナリストとして、INGベアリング証券(現マッコーリーキャピタル証券)、日興シティグループ証券(現シティグループ証券)などを経て、2011年1月より現職。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員

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