「ギフト」特化で成功! 大丸松坂屋のEC戦略とは?
デジタルに遷移しやすい店舗とは
アクセンチュアは小売業界の調査(2013年)において、「49%の消費者がリアル店舗、オンライン、モバイルといった複数のショッピングチャネルを統合した店での購入を求めている」と発表している。
販売促進部長の永井滋氏もまた、「お店にいながらスマホで商品情報を検索し、購入するかどうかは自宅でも考えられる時代になりました。お客さまが自由にショッピングを楽しめるよう、リアル(店舗)とオンラインをシームレスに考えていく必要があります」と話す。
同社は業界の中でいち早くメールマーケティングやポイントカードを導入するなど、デジタルマーケティングに注力することで成果を上げてきた。
すでに会員数100万人を突破したのが、自社アプリの「大丸・松坂屋アプリ」。2019年5月に全国14店舗でスタートさせて以来、順調に会員数を増やしてきた。
アプリに登録するメリットは、来店や買物に応じてサービスが変化する「ランクアップ機能」や大丸松坂屋カードと同様にポイントを貯めたり使ったりできる「電子会員証機能」、お得な情報などをタイムリーに届ける「お知らせ機能」、贔屓にしている店舗のイベントやトピックスなどの情報がスムーズに拾えること。
また、大丸松坂屋カードに限定されるが、事前にアプリ上でクレジットカードを登録しておけば、アプリ上で決済が可能。例えばアプリ上でほしい商品をクリックすれば、自動的にECサイトに飛び、シームレスで決済まで完了することができる。
また、同社の特徴として、北は北海道から南は九州まで、店舗によって顧客属性が大きく異なることが挙げられる。大丸と松坂屋が合併した2010年以来、同社はそれぞれの立地特性を重視し、地域とともに魅力的な街づくりをする「地域社会との共生」を目指してきたためだ。
お店で会えずとも、全国の店舗販売員は地域性を意識したブログを執筆し、新作情報や商品の裏側を自分たちの言葉で綴っている。LINEを始めとするSNSを活用した施策を実行するほか、店舗にオンラインショッピングに誘導するQRコードを多く設けるなど、デジタルに遷移しやすいよう工夫も施してきた。