「無人店舗化」が進めば進むほど、「個店経営」が重要になるカラクリとは
ファミマ、セブンが無人店舗を実験中
いわゆる「無人店舗」が注目を集めている。2021年9月、コンビニエンスストア(CVS)大手のファミリーマート(東京都)が24年末までに1000店の無人店舗を出店するというニュースが流れ、セブン-イレブン・ジャパン(東京都:以下、セブン-イレブン)もお客が自身のスマートフォンを使って商品をスキャンして決済する「スマホレジ」を導入すると報じられた。これら「無人店舗」は、個店経営の重要性を高めるものでもある。それはなぜだろうか。
ファミリーマートの無人店舗は、店舗の天井および棚に認識装置が付けられており、お客が商品をピックアップすると、装置が自動的に認識。出口付近の決済エリアに行くと、ディスプレーに合計金額が表示され、現金あるいは電子マネーなどで決済する。
このシステムAは米国でアマゾン・ゴーが創始し、ウォルマート(Walmart)のネイバーフッド・マーケットが追随しようとしたのと同じ、あるいは類似した方法である。日本ではTOUCH TOGO(東京都)が駅構内の無人コンビニ「TOUCH TO GO(タッチトゥゴー)」を展開するほか、同じJRグループである紀ノ國屋(東京都)にもシステムを外販して同様の方式で無人店舗を実験している。なお、ファミリーマートの無人店舗もこのTOUCH TO GOとの提携によるものだ。
一方、セブン-イレブンのスマホレジは、専用アプリを立ち上げ、購入する商品のバーコードをスマホのカメラで読み取り、合計金額を確認してアプリ上で決済。精算後はレジを通らずに退店可能、勘定はアプリに登録した電子マネーやクレジットカードから引き落とされる。以下、同システムを「システムB」とする。
両システムとも正確には、「店舗の無人化」ではなく「決済の無人化」であり、商品の運搬補充は人間が担う。もちろん、どちらも実験段階であり、その過程で手法を変更することは大いにあり得る。本稿では、今判明している範囲で論を進め、「無人店舗化」がどのように個店経営と係わるか考えてみたい。