「楽しむ、楽しませる!」が成長戦略 躍進を続ける次世代ローカルSMの組織開発

東三河・浜松エリアで食品スーパー(SM「)クックマート」を12店舗展開するデライト(愛知県/白井健太郎社長)。同社は大手SMの攻勢が激しいエリアを商圏としながらも、既存店売上高を伸ばし成長を続けている。そんなデライトが最も注力しているのが組織開発だ。「人を幸せにする新しいチェーンストアの創造」を掲げ、業界の慣例に捉われない、独自の人材活用手法を実践し、強い店づくりに成功している。
デライトの強さのポイント
- 1店当たり平均年商27億円という個店の競争力
- 能力開発と“働き甲斐”を追求した組織文化と社内制度
- ツール活用による活発なコミュニケーション
「人を幸せにする新しいチェーンストア」をめざす
「クックマート」は1995年に1号店を開店と、SMとしては後発組だ。しかし、だからこそ既存のチェーンストアとは異なる新しい発想のもと事業を展開している。

同社がビジョンに掲げるのが「人を幸せにする新しいチェーンストアの創造」だ。2017年に2代目社長に就任した白井健太郎氏は次のように説明する。「単に本部の指示・命令に従うのではなく、一人ひとりが『働き甲斐』を感じられる組織こそ、従業員の納得感やパフォーマンスを高め、結果的に業績を伸ばすことにつながる」。この方針のもとデライトは、現場の一人ひとりが自ら「興味・関心・好奇心」を持って、「よく見て、気づき、考え」、個々の能力を発揮することで各地域に密着した強い店づくりができる組織をめざしてきた。
店舗運営では、各チーム(デライトで「部門」のこと)のチーフが、各チームを指揮する本部の「統括」と連携して、仕入れや売場づくり、価格設定まで行う。そして店長がチーム間、また店全体の連携を促す役割を担っている。
デライトの正社員の平均年齢は37歳と業界のなかでも若い。白井社長自身が41歳とSMの経営者のなかでは若いということもあり、固定観念にとらわれず新しい施策に挑戦しており、それが地元の若い人材を惹きつけている。
こうした方針・体制のもとデライトの業績は成長を続けている。20年度末の店舗数は11店で、売上高は298億円(コンセッショナリー・テナントを含む)。売上高は10年間で約1.75倍に、ここ4年間では新規出店がないなか17年度の261億円から14.1%も増加させている。平均売場面積は約300坪と比較的小ぶりながらも、1店当たり平均年商は27億円と高い。
地場の食材や総菜を現場で創意工夫し提案
デライトの売場づくりを知るため、8月26日に静岡県浜松市に開店した売場面積450坪の「クックマート可美(かみ)店」を訪れた。
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